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2024-04-02 [長年日記]
_ ダブルステッチ
亡き母はペン字の師範の資格を持っていた。だから遺品の中にはその関連のものがたくさんあった。ペン軸やペン先などの筆記具、練習の書き付け、それから、ここに画像を上げたペンケース。ちょっと何の意匠かはわからないのだが、皮に線画を刻んだこのペンケースはどこかに旅行に行った時の母自身へのおみやげ、だったのかもしれない。なんとなくそう思う。割と長いペン類を収納できるこのペンケースは母の死後、僕が引き継ぐこととした。中には水彩スケッチ用の水を入れられる筆や下書き用の鉛筆やペンを入れている。半年ほど前に、縁取りのかがり縫いの革のレースがボロボロになったことに気づいた。ある日、よく行くスーパーの一角に、財布やバッグのような革製品を修繕するお店が出ていたことに気づいて、相談してみた。対応してくれた割と年配の女性は、職人さんを探さなくてはならないけど一度持ってきたら、と答えてくれた。次の機会にそのお店に現物を携えて尋ねると、前回とは違う少し若い店員さんが、こういうものは扱っていないと言うのだった。
いろいろ思うことはもちろんあるけれど、じゃあ自力でなんとかするか、とネットをいろいろ漁ると、やり方を詳述しているページはいくつもあった。巧拙はともかくなんとかやれそうな気になったので、ネットで革レースと専用の針を入手して先週末辺りからかがり始めたのであった。そして今夜完成。思ったより本格的なものになった気がする。母を構成していたものの一部は、こうしていま僕の手元にある。かがり縫いがまたほつれても、次はどうすれば良いか知っている。こんなささやかな手仕事をそれなりにできたことは、きっと母の気にいることだろう、などと思う。僕は子供の頃に漫画家になりたくて、作画道具を揃えた。高校の頃はアニメーションを制作するクラブ活動に血道をあげていた。社会人になって漫画やアニメを作るための材料を揃えられるだけの収入を得ることはできたが、そこに注力する時間も気力もなかった。一方子育ても終わりに近づいた頃母はペン字の師範の資格をとり、しかし弟子などはとらず、パソコンで簡単なイラストを作ったりもしていた。僕が学業を蔑ろにして漫画だのアニメだのに夢中だった頃には、自分への母の反応は批判的だったようにその当時は思っていたのだったが、今になってそれは誤解だったのだと思う。母は僕の行く末を案じつつも、きっと自分の嗜好と当時の僕の嗜好を重ね合わせて、あるいは陰ながら応援してくれていたのかもしれない。そして今僕には、そんな母の嗜好が受け継がれていたのだ、とつくづくわかるのである。
_ [ドラマ] 『VRおじさんの初恋』
はじまってますね。井桁弘恵がなんか凄く良いんだけど!ヴァルキリーこんなに表情豊かだったのか。次回も楽しみ!ところで、このドラマみてて思ったのは、人間ってAIを模倣する存在でもあるのだなあ、ということだった。井桁弘恵はだれかのアバターを実写の中で演じている。キャラクターの基本動作を理解していないために動きがおかしい。その動きは、人間のダンサーがロボットの動きを真似るロボットダンスの明らかな影響なのである。不器用な機械の動きを人間が模倣する。ロボットという概念ができてからおそらく間も無くそういう概念もできてしまったのだろうと思う。これは究極的なピグマリオンコンプレックスだ。
私も皮製品作成経験ありです。楽しいですよね。ちなみにバックと小銭入れとパスケース作りました。
僕、余ってる皮があるんですけど、製作の役に立ちますかね?はいはい下ネタ下ネタw
(ー_ー)
信じてないようですね。今度お見せします。