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2014-06-16 [長年日記]
_ [読書] 「ヨブ記講義」内村鑑三、岩波文庫、2014。
ビルダデの第一回討論のあたりまで読んだところ。内村鑑三は単にこの書の宗教的の価値だけを説くにとどまらず、書かれている言葉の数々に対して考証を行なっている。たとえば、旧約聖書には「『獅子』を表わす5つの異なる語があり、このことは物語の成立した場所が獅子の頻出する地方であったことを語る、とか葦がpaperの語源であるパピルスを意味するとか。このような緻密な考証を基礎として、ヨブ記に語られる事柄を、次にはそれを現実の人間が発したものであったならそれはいかなる当時の教義に基づいて発せられたものであるのか、あるいはそのあまりに”神学的”でありすぎて被災者の心情に寄り添わない言葉を受け取ったものすなわちヨブがどのように感じたとするのが自然であるのか、などを吟味し、この物語が実験的、すなわち本当の体験を元として書かれたものであるという立場をとる。このことは、また内村自身がヨブ記によって大いに慰められた過去を持っていることにもよるようだ。つづき読んでいく。ところで、喜ばしいことに、我が家のビッグデータの中から、ユング『ヨブへの答え』(秋山さと子訳)と岩波文庫版『ヨブ記』がマイニングされたので、併読することができる。