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2013-10-06 [長年日記]
_ [漫画] 「水木しげる漫画大全集」#003、027
毎月3日がゲゲゲの日なのに忘れてたので今日買いに行った。#003は貸本漫画の「怪獣ラバン」他。ゴジラブームにあやかってゴジラの血を輸血された一郎さんがラバンという怪獣に変貌。鬼太郎「大海獣」のもととなっている。
_ [漫画] 「水木しげる漫画大全集」#001「貸本漫画集1 ロケットマン他」
「ロケットマン」ロケットマンと言うと俺はエルトン・ジョンの名曲を思い出すのだが、この表紙は完全にスーパーマンのパクリ。胸のマークだけSでなくてR。上津戸新一くんは見た目完全にイガグリ君なのだが、彼はヒョウタンの研究をする科学者なのである。宇宙生物に体を支配された彼の父上津戸博士はグラヤという大怪物に変貌するが、息子新一を気にかけている。その思いやりは目玉の親爺に通じるものがある。新一はロケットマンに化けて、世界を支配せんとする怒雷博士を負かし、さらにはヘタリウム(笑)という物質を発見してグラヤとなっている父に投与する。父は人間体に戻るがポケットに入るくらいの小人となってしまう。携帯される父親と言うのもまた目玉の親爺を思わせるものである。
「プラスチックマン」人造人間プラスチックマンは水木博士の助手のおなかからまるで回虫のように誕生する。生まれるなりゴーグルをしてたりしてかなりおかしい。プラスチックマンのプラスチックな体を生かしたアクションは、しばしば通常のコマ割りの論理を逸脱する。ジョジョの奇妙なコマ割に先立つこと50年である。悪役・不吉博士はプラスチックマンに倒されそうになり、言うに事欠いて「ぼぼくはきみがすきなんだよ」とか言い出す。プラスチックマンの活躍を知ってテレビ会社が「テレビでスーパーマンと一戦まじえるきはありませんか」と持ちかけるのに対して彼は「今日はつかれていますからこれで終わりにして下さい」とそっけなく答える。このコマで一巻の終わりとはあっけない。なんだか漫画の旨い子がノートに鉛筆で書いたような面白さがある。
「ベビーZシリーズ 水人間現現れる!」ベビーZという異形の子供のヒーローと言うのもいいが、水人間と言う鬼太郎の水虎を彷彿とさせる怪物もいい。未完なのが実に惜しい。
「火星人がやってきた」博士の部屋に突然やってきて住みついておしまい。5ページ。
「アマゾンの奇妙なもの」アマゾンの奥地で奇妙なものがでてきてダイナマイトで排除されておしまい。
「赤電話」宮健児の作品を途中で水木さんが続けたもの。宮さんの手になると思われる冒頭、タイトル・「殺人事件!」とあるコマ→「キャー!」という悲鳴の上がるコマ→「というわけでこの家に人殺しがあった あくる日僕は この事件を調べようと家に行ってみた」という健二探偵の述懐。僅か3コマで本編に入るこのテンポはすごく好き。さらに進み、健二探偵が今津刑務所に潜入し「ここで死んだのだな 墓地までずいぶん遠いな」と言うコマ→「これだな なにも変わりはない」と言う墓地のコマ。わずか2コマで遠い道歩きが完了する。このテンポはすごく好き。「謎?」という章の最初の大コマのモブシーンはかなり手塚治虫のそれに似ている。このあたりから絵柄が変わっているように思われる。敵につかまった健二探偵は気違いのまねをして脱出を試みる。そのときのセリフ「マブリン ガン ヘ ブ」「シンコロモチ サンリンシャ イトツ イカル」。「ゲゲゲの女房」を見てた人ならピンとくるだろうが、「イトツ」は水木さんの父、「イカル」は母のあだ名なのである。途中コマ割りの縦スペースが車止めの柱になっているコマがある。解説は水木夫人。