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2013-10-10 [長年日記]
_ 昔なら体育の日なのだが。
_ [漫画] 「水木しげる漫画大全集」027
「鬼太郎夜話 上」ガロ版の鬼太郎である。本編の前1965年のイラストは「人間」という札をつけた鬼太郎が税金や欲望、仕事、ガン、交通事故などの妖怪を背負っている。家族や貧乏も彼の重荷となっている。次のページは吸血木を腕に植えつけられて怪異な姿に変貌した男の印象的なイラスト。女の子がすごくかわいい。本編読みだすと懐かしいフレーズがたくさん出てくる。荒野をひとり歩くねずみ男が「生温い風が吹いていい感じ…」とつぶやき、埋められた母親の死体から生まれた鬼太郎の首にひもをつけて引き連れる目玉の親爺が「お前には生れ落ちるときから苦労をかけるなあ…」とつぶやく。むじな汁を作ってくれた目玉の親爺に鬼太郎が「うわっうれしい」とつぶやきケケケケと笑い、オヤジはそれにこたえて「うれしいか」と言いイヒヒヒヒと笑う。鬼太郎の母の血液を買い取ってしまった血液銀行の頭取禿山氏が、鬼太郎を前にして「思い出せば七年前…」と、鬼太郎誕生の頃の思い出を語る。つまりここにいる鬼太郎は7歳ということになるだろう。吸血木を育てるためにねずみ男は、禿山頭取から百万円を受け取る代わりにドラム缶一本の血を受け取る。そして「グロテスクなものを作るのがわしの趣味でもあり生きがいなのだ」などという。このねずみ男はわれわれの知るねずみ男以前の存在、怪奇趣味旺盛な半人半妖の奇人なのである。地獄めぐりをする禿山頭取が車でがけから落ちる直前に、「パッ」と言って何かが光るような大ゴマがあるのだが何が描かれているのかよくわからない。猫娘登場し、ねずみ男を見つけて「あっ私はこれをガマンできない」と一言言って変貌しねずみ男に襲い掛かる。吸血木を植えつけられた歌手三島由美夫(当然の如く三島由紀夫のパロディ)が歌う歌の歌詞は「俺は涙を知らない男 俺は涙を見せない男」。この歌詞、俺の記憶では楳図かずおの「おろち」に出てくる演歌歌手の歌だと思ってた。というわけで下巻に続く。来月3日だ。待ち遠しい。