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2006-08-01 [長年日記]
_ [奥州街道] 仙台逍遥・最終日
昨日たどり着いた吉岡宿を目指してバスに乗る。ところが時刻を間違えていて途中の三本木までしかバスは行かないのだった。三本木から国道沿いに吉岡を目指す。しばらく歩くと吉岡に向かうバスの経路に出ることができたのでまたバスに乗り、無事吉岡に戻ることができた。バスの客はほとんど老人だ。
吉岡から国道を離れて昌源寺なる寺に向かう。田んぼの真ん中を通る道が旧奥州街道に近い、というわけで、さらに昔の街道はこの寺の東側のすぐ脇を通る昌源寺坂だったのだが、三本木まで到るその道は失われているのだ、と住職が教えてくれた。
しかしあきらめの悪いわたしは、少しでも旧街道に近い道を探して藪の中を越えた。山蛭や毒蛇や野糞を踏む恐怖を想像しつつ、藪を掻き分けると、整地中の開けた場所に出た。今度は発破の恐怖におびえつつそこを抜けると、出た場所はパークゴルフ場だった。かなり沢山の老人が元気良くプレーしていた。汗を乾かしつつここで休憩する。楽しそうだなあ。平日のお昼時に、首から地図だのGPSだのいろんなものをぶら下げているわたしは、みんなの興味を惹くには惹くのだが、誰一人声をかける人はいない。つまり、明らかに引かれている。
パークゴルフ場で昼食をとる。
この付近の奥州街道はもとは散策路となっていたが今は宅地開発のために立ち入り禁止となっているようだ。
山道を降りていき、須崎神社で休憩。平日の午後のひと時。静かな時間。ここ数日仙台の辺りには冷たい気団が停滞しており、曇りがちで涼しい。
三本木に着く。道の駅で休憩。ここの名物はひまわりで、ひまわりの種のソフトクリームを食べると非常に香ばしい。
午後4時過ぎ、古川市内へ。瑞川寺は街中に在りながらなかなかの名刹。五時少し前に歌枕の地、緒絶橋に着く。「みちのくのおだえの橋やこれならむ ふみみふまずみ心まどわす」(藤原道雅)
この橋に隣接する蔵は時代を経たもので、もと造り酒屋の蔵が10ほどもある。外装を新たにして一つ一つに食事や工芸品を売る店が入っている。危うく通り過ごすところだったが、蔵の一つで伝統の家庭料理である「はっと」を食べさせる店の主人がそう説明してくれたので、食後しばし見回る。「はっと」というのは、いわば「すいとん」を上品にしたような感じのもので、薄味の汁は全部飲んでも塩辛く感じないように調整したのだと聞いた。たっぷり汗を流した体には優しく染みとおる味だった。「はっと」は甲府の「ほうとう」と語源が同じなのではないだろうか、とふと思った。
最後の駄目押しに古川小学校の古川城跡を訪ねて、新幹線に乗る。しかしまっすぐ東京には向かわない。福島で降りて、行きつけの居酒屋、箸屋惣介に寄ったのだった。今日で9回目。店員も少々入れ替わっている。それにつけてもこの店の食事はとてつもなく美味い。飛露喜も美味く、3合ほど飲んでしまった。次に訪ねるのはいつだろう。途中下車もなかなか大変なのだが。