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けいりう堂日記

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2012-07-08 [長年日記]

_ 今日の日記のテーマは「魔境」。朝食を取りながらラジオで「宗教の時間」を聞いていた。「夢中問答」に夢想国師が弟子に請われて魔境とは何かを答えたことが書かれているんだそうだ。まず、魔境には外魔と内魔があり、前者は天魔が己の眷族か配下と考えている我々が彼らの影響下から逃れようとするのを妨げようとして修行の邪魔をするものである。キリストやブッダが修行の際に出会ったのはこれら外魔ということになるだろう。あからさまな誘惑に限らず、「あなたは素晴らしく既に立派に悟られていらっしゃるのだから修行などもういらないではありませんか」などと言ってくるたちの悪いものもいるようだ。これらは天魔とは呼ばれているものの、われわれの身の回りにいくらでもいるのである。だからこそ、修行中とわきまえるならば、神に会えばその神を切り、仏にあったならその仏を切り、父や母を捨ててイエスと共に人間を漁る旅に出かけろというのである。まずはそれほどに修行の道は厳しいものだということだろう。
 しかし、ではそのようなことをよく考えることなく本当に外魔を斬り父母を捨てて修行大事と励んだならどうなるだろうか。そのときその人はもう内魔にとらわれて修行の道を踏み外したのである、といったようなことがたぶん「夢中問答」に書かれているんだろうと思う。ひたすらに陰徳を積んだことをもって自らが尊い存在に近づいたと思うもの、人よりも座法や瞑想のテクニックに長じていることをもって自らを他者と聖別するもの、築いてきたキャリアに立脚して自ら識ろうとすることを止めて若者を教え諭そうとする行為。どうやらこれらは全て内魔によって修行を妨げられている状態とみなすことができそうだ。若い頃の苦労をことさらに振りかえるもそれによる教訓を与えるというより誇らしい気持ちを満足させようとすることもそうだ。あるいはその内容から何も学ぶことが無かったにも関わらず読んだ本の冊数を数え上げることを寿ぐだけの読書もおそらくは魔境である。そのようなときは、これまでの修行の結果を全て捨てろ。夢想国師はそのように教えているようである。
 そう考えるなら、およそなんらかの修行的な行為をする人は、ほとんどが魔境にいるものと捉えなおすことができる。それを魔境と呼ばないのは、修行的な行為をする人々の目的が、苦しみ多き世からの解脱ではないからなのである。仕事に打ち込むことによって自己実現をめざすのだ、という言い方は多いのだが、そうであってもその実現されるべく目指す自己の姿は、多くの場合サンサーラからの解脱という意味では無いだろう。
 外魔であろうと内魔であろうと、修行とは関係のない人を襲うことは無い。前者に対しては当人の自覚にかかわらずその人はすでにして天魔の配下にいる存在であるのだし、後者の場合も、そもそも修行することの誘因がその人に無いのだからだ。それゆえに、一生懸命修行に励む人をしばしば無為に生きる一見愚かしい人が凌駕していることもある。このことは禅宗を素材とする話にはよく表れるエピソードだと思う。森鷗外の「寒山拾得」もそんなモチーフで描かれたのではなかったかと思う。つくづくと森鷗外や夏目漱石を高校生ぐらいで読むことは早すぎる、と感じる。作られた当時の高等教育を受けた学生が読むのならまだしも、もはや我々にとって背景とする知識が大きく変わってしまった現在において、そこに描かれている主題を読み取るためには作成当時の背景を理解する必要があるためである。そのための優れた解説書に巡り合うチャンスが私には無かったのだ。

_ [特撮] 特捜戦隊ゴーバスターズ

さて、そのような魔境ということを踏まえながら今週の「ゴーバスターズ」を見てみよう。エンターは、作品の舞台であるこの世界(われわれにとってはパラレルワールドとみなせる)を攻略するために、この世界の人類を調べている。古いフィルムを思わせるモノクロのオープニングのも面白いのだが、「Tres bien!」をつぶやくエンターはおそらくこの世界の人類を愛好している。映画のつながりで、イメージを実体化するメタロイドが呼び出され、ヨーコには勉強なんてやめて遊ぼうと誘うウサダ、リュウジには「おまえはエンジニアとして俺を超えた。これからは師匠と呼ばせてくれ」などと持ち上げる先輩マサト(この人は『マジレンジャー』のときにEDのダンスでの腰の動きが秀逸過ぎて『黄色の腰』と異名をとった人だ)、ヒロムには亜空間に残った両親と姉を、それぞれ実体化して魔境に落とそうとするのである。もちろん聖書や仏典に書かれている通り、彼らもまたそれを退けることによってヒーローとしてまたひとつ成長したのである。亜空間とか今回のロボットの必殺技を見ていると、制作には『伝説巨神イデオン』の影響があるのではないかと感じる。

_ 最近特にPCが重くなり、この日記も書くのにやたらと時間がかかるようになった。とりあえずリソースメーターを見ようと思ったら標準ではWin7にはついていない。ここからダウンロードできる。だがこれを見る限り何が問題なのか分からない。ブラウザに問題がありそうだが、PCを新しく組んだ方が解決が早いように思う。もはやPCの時代ではないのか、という気もする。とりあえずなんか気になるのでGoogleデスクトップ(最近開発中止になったようだ)はアンインストールしてみようかと思う。バビロンとバイドゥがむかつく。

Googleデスクトップアンインスコしたらかなり軽くなった。めでたし。先日できなかったIE9の再インスコもやりなおせたけど、使ってるブラウザ三種の中ではいま一番重たい。ルナスケがすぐ落ちるけどカスタマイズの余地がたくさんあるのでちょっといいかなと思う。

_ サクサクの録画みててピロカルピンというふざけた名前のバンドがやけに気になってる。ボーカルは松原千恵子だ。間違った。松木千恵子という人だ。唱歌を歌うような綺麗な通る声でロックバンドをやる。すごく好きになった。歌詞も泣かせる。歌詞を作ったら曲に合わせ、曲に合わせて歌詞を直すといった作業を繰り返して作っていくようだ。あー、いいなあこの声。大貫妙子をもっとはきはきさせたような感じと言ったらいいか、全然違うか。

 梅雨そろそろ終わりなんじゃないか?


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