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2009-11-09 学会。 [長年日記]
_ 学会というか、シンポジウムに参加。
東京は皇居のそばにて学会。今回はポスターセッションということだった。一応国際学会だったので、英語のポスターを貼り、英語の台本を用意した。昨日の日記に書いたとおりで、準備の時間はあまりなかった。日曜の夜という週でもっともネガティブになる時間に準備、準備で、泣きそうになるのだった。しかしながらこれは私の選んだ道の一つの有り様だ。どんなに悲しくてもやり遂げねばならなかった。
で、当日。ポスターセッションというのは、パネルにプレゼン資料を貼りつけてこれをつかって、訪ねてきたお客と語らいつつ議論するという場。学会での地位はどちらかといえば口頭発表に比べると一段落ちる扱いになってしまうが、反応が直接的で即時的なのはメリットと言える。
外国からのお客さんとの語らいはぎこちなくはあったが、それでもこの学会は、品質管理の問題に対してセンシティブな人の集まる場なのだった。だから、人が何をやろうとしてるのか、やっているのかを知りたいのだ。しかも、実践のベースとなるはずの数理は思った以上に難しい。いや、現実を表現できる数理は実はあまり無いのかもしれない。そんな世界にありながら、それでも原理からあるべき姿を追っている、そんな姿勢だけは、難解な数理に関わらず、伝わることであるようだった。だから、会議場の全体的な雰囲気からは浮いているというか沈んでいるはずの私のパネルには、強い問題意識を持った人たちと、私自身をよく知っている人たちが訪ねてくれたのだと思う。
正規分布に根差した統計理論。その原理を理解することは困難ではあっても価値がある。その上で、当時と現在の違いを見比べてみる。すると、計算機のパフォーマンスが全く違っていることに思い至る。目の悪いフィッシャーが、視力に頼らずに済む幾何学的な考察から現在の推計学の基礎を築いた。そして今。リスペクトしているけどなかなか実施に至らないブートストラップ法のようなリサンプリングの考え方を、もっともっと使いこむべきなのだと改めて思う。幸いなことに、ただで使える良質な乱数がある。分布の形を仮定しないノンパラメトリックな手法もある。そして両者をつなぐべきコマンドやGUIも、これまたただで利用できる。もちろんRのことを言っている。これらの恩恵にすがりながら、これからもやって行く。