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2016-08-22 [長年日記]
_ マツムシの交尾。ある誤解。
台風一過でちょっと涼しくなった気がする。間もなく秋だ。うちのマツムシもカップリングしてまさに現在、たけなわの交尾に余念がない。彼らにとっては大きなお世話だろうが、ぜひとも繁殖してほしいと思う。増えすぎたなら庭に放ってしまえばいい。その頃には葛の苗もすっかり繁茂していることだろう。マツムシの恋人たちは物も言わずに真面目な面持ちでいそしんでいる。彼らの世界には言葉責めは無いようだ。あくまでも無言で翅を広げたメスを後背位で思うさま責めたてる。メスは腹部をのけぞらせてすべてを受け入れようとしている。翅を高々と上げたそのメスの背中付近に顎を押し当てていたかと思うと、やがてオスの官能は頂点に達したと見え、歓喜のしるしをメスの輸卵管根元辺りに大いに注いだ…というように見えたのだが、実は私は攻守を取り違えていたようだ。翅を高々と上げているのがオスで、翅の付け根にはメスの好む誘惑腺がある。これにメスが夢中になっている間に下から"精球"をメスに渡す。背中を愛撫されてのけぞっていたように見えたのは実はそういうことで、思いもよらないアクロバティックな体位で絶頂を迎えたのはオスの方だったのである。なんという”とりかへばや物語”なのであろうか(←だいぶ違う)。
台風一過の夜は更けていく。そして秋の気配と共にオスの存在意義は消滅していくのだろう。もののあはれ、とはきっとこういうことを言うのだ。そしてまたオスが鳴きだした。我が家の飼育ケースの中は愛欲の館である。