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2017-07-01 [長年日記]
_ 今年半分終わったと人は言う。会社人的には上期前半が終わったと言う実感。
_ [音楽][特撮] EXCITE,三浦大知。
仮面ライダーエグゼイドの主題歌。歌ってみると結構盛り上がる。CDにはQuarta330 pixelated Remixが併録されている。調べるとこれはアーティストの名で、ゲームボーイを使って音楽を作ってるそうな。ファミコンの音源だと思った自分。ゲームボーイはやったことない。でも、つまりあの頃のコンピュータゲームの音源ということで、懐かしくも新鮮で、気に入っている。もう一つのCarpainter Remixも聞き直してみるとこれはまたこれでいい。ジャジーな電子音楽は80年代のAORを彷彿とさせて、それこそは自分の青春であり初期の挫折(なぜなら挫折ばかりを繰り返しているのだから)の時代に重なるもので、懐かしいと言い捨てるには余りある複雑な想起に繋がるのだ。良いライダーソングだ、これらは。
_ 想い出につながる物を食べれば、その想い出はいやがおうにもおのずから甦る。食べ物は記憶装置でもある。私にとってその一つは、黄色い卵に刻みネギやグリーンピースの緑が美しく散りばめられた、甘くない卵焼きだったりする。作る度に出来がばらつくのは悩みだが、うまく出来れば母の人がかつてどんな想いで私の保育園の弁当を作っていたのかなど偲ばれる。口においしいものを含みつつ涙ぐむ、美味しくてしかもたまらなく哀しいというペーソス。
客観的な具体例を挙げよう。ジョージ秋山の「ザ・ムーン」の最終部。子供たちは絶望的な闘いに向かい、己らを鼓舞するためにチョコレートを分け合ってもんぐ、もんぐ、と味わい、そして涙ぐむ。この涙の一つ一つに彼らがなぜ泣いているのかという説明は作中無い。だが彼らはもちろん、チョコレートの甘さからそれぞれの体験を復元して泣いたのだ、と、今の私にはわかる。食べ物に特別な思い入れをして自らを鼓舞するということでは、楳図かずお「漂流教室」の翔が、時空を隔てたお母さんに宣言してインスタントラーメンのかけらを口にしてから大地の亀裂を飛び越えようとする印象的なシーンと双璧をなす。もちろん、私にとって、ということだが。
おいしいと思うものを食べながら涙する、というこのペーソスは良いものなのだ。そう感じることのできるヒトに育てられたことには感謝したい。そういうことに今更思い至った、幸福な夜だ。