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第3回(98/06/14)

茅ヶ崎―箱根湯本 〜雨の日はマメだらけ〜

<introduction−徹夜明けの午後−>

三週連続でさあ、今日も行くゾ…しかし今朝方まで仕事をしていて目覚めたのはほとんどお昼。それでも十分な睡眠は取れたはずだ。今日は箱根湯本まで歩きつづけて温泉につかって一泊だ。何しろ明日は既に年次休暇にしてあるんだもんな。フリーパスで箱根観光だ!
 今日は本格的な雨降り。良いんだ、こないだ買ったレインウエアが今、役立つ時が来た。では
じゃじゃ丸君、留守を頼んだよ。      
 これが
抜け参りの三回目。

早く帰ってきてね さむしいから

<98/06/14 14:30>
茅ヶ崎についたら…ワ!もうこんな時間!今日の道のりは32km。対する私の歩速は通常時速4kmなので、ナントこのままでは箱根湯本着22:30では無いか!これでは温泉で一泊は危い。といって歩く気持ちは抑えられず…ままよ、小田原に何時につくかでその後を決めるとしよう!このあたりが独り者の気楽なところ。
 ゴアのスーツの上下に身を包んで歩くと、こ、これは蒸す!しかもフードを使えば意外に左右の視界が狭いことに気づく。それに耳のそばでガサガサ言うから周りの音が良く聞こえない。なにしろ東海道は国道沿いなので車が激しく通るから、これはずいぶんと危険なことなのである。そこでフードを外し、ゴアのキャップを被ってまた歩き出す。

<15:45>
平塚(第七宿)である。大黒庵という、たぶんそばや”でそばを食べつつ、地図を見て店の人にここの住所を聞くと、ムムム…旧東海道から道を一本内陸寄りに外れて歩いているではないか。戻って歩き直すか?いや、今日は時間が無いのだ。ほとんど競歩状態。
 花水川を越えたあたりから、何やら行く手にはこんもりとした小さな山が見える。地図を見ると…これは高麗山。周りが平地なのにここだけが出し抜けに山なので何だか奇妙。山の形も奇妙。高麗の方向から見ると二つに割れたお尻のようにも見える…

<16:30>
大磯(第八宿)。このあたりは松並木がまだ残っている。松並木を歩いている私は、まるで永谷園のお茶漬けの中のカードに描かれている人のようだなあ…などといい気になっているが、実は足の裏に不安な感触を感じているのである。今履いている靴は防水加工のされていないホーキンスのトレッキングシューズ。今日の雨でたっぷり水を含んでいるので靴の中はムレムレで、足の裏の皮がホドヨク柔らかくなっている。一方、一歩進むたびに或る応答関数を介してアスファルト道路からの衝撃が足裏に伝わる。それは足裏の平面に対して平行な方向のズレを生ぜせしめる。すると何が起こるか…そう、今や我が足裏は大量のマメを製造し始めているのだ!やはり今日は小田原辺りで帰るのだろうか…

 と、そのとき、西の空を見ると雨上がりの夕焼け!こんなに夕焼けを美しいと思って眺めたことがあっただろうか。「まだ明るいじゃないか。箱根湯本には9時台に到着すれば宿にありつけるんだ。足の痛みなんか、宿でゆっくり癒せば良いんだ!」
 気を持ち直してまた元気に歩き出す。そろそろ
18:00にもなろうという頃、二宮<セドルの箸袋(こんなもの後生大事に取っておいてあまつさえHPのネタにするなんて…)>を通る。午後六時を告げる鐘の音を聞いたような気がする。まだ辺りは明るいが、やがて暮れていくことだろう。先回泊った「セドル健康ランド」にいた、今は亡き母方のばあちゃんに似た従業員の顔を思い出す。そうするうちに、国府津の海沿いの道に出た。昔、東海道は神奈川の辺りは全く海沿いであったが、今は埋立地によって海岸から隔絶されている。比べてこの辺は、道こそアスファルトであれ昔の風情をかなり良く残していると言えるのではないか。
 さて、歩きつづければエンドルフィンが大量に分泌される。まして先ほどの夕日の赤色が心理的高揚をもたらしているから歩くことの快感がまた蘇っている。とはいえ、足裏の不具合は物理的に許容できなくなってきた。酒匂川の手前の郵便局の前で一度休憩。靴を脱ぎ靴下を取ると…
ウワ!スゴイ!とりわけ右足裏の親指の付け根と、そして小指(第五指)がスゴイ。この小指は、水ぶくれなのか小指なのか見分けがつかないではないか!一瞬躊躇した上、覚悟を決めて、かねて用意の裁縫セットを取り出す。そして待ち針を一本つまんでその先を100円ライターの火で炙り…(以下、残虐なシーンのため省略します)
 マメをつぶして
万瘡膏を貼りつけると足の痛みはほとんど気にならなくなった。

<20:00頃>
小田原(第九宿)。に着いた。すでに夜だなあ…気が焦るのでほとんど休憩を取らずに先を急ぐ。やはり夜道を歩くのは心細いようだ…しかも日曜の夜。昔から日曜の夜はことさらさむしい気がするのは私だけであろうか。
 やがて、早川が見えてくる。この川が見えると、箱根に来たなあ、と感ずる。早川沿いに風祭・入生田と、箱根登山鉄道を脇に眺めながら1号線をひた歩く。夜道を時々電車が通っていく風情もさみしげであはれ。

<20:50>
ついに箱根(第十宿)の湯本に着いた!さあ!風呂だ風呂だ!今宵の宿は第1回でも登場した「かっぱ天国」である。湯本の駅からすぐなので大変便利.。お風呂が22時までだから取り急ぎ入浴。これに勝る極楽があろうか!ハハハハ!
 宿の食事は既に終わっている。そこで宿の主人らしき人に尋ねると、この近くの「鈴鹿」という居酒屋が良いと言う。「よもやボルことは無いと思うけど…『かっぱの客』だと言えば大丈夫だと思うから。」何?ここらにもボル店があるのか?それとも単にかっぱの主人が恩着せがましいだけなのか?様々な思いを振り切って「鈴鹿」へ、カッパッパー!店内は近所の人が数人。みんなサッカーのワールドカップを見ている。別段ボラれることもなく、飲食を堪能して本日はお休みなさい…翌日は箱根観光だ!
 

<翌朝「かっぱ天国」から外を見る>


 

<脚注>

1.じゃじゃ丸君…このころ私は一歳になるオス猫と共に暮らしていた。その名前がじゃじゃ丸である。御存知の通り出典はNHKの「おかあさんといっしょ」の「にこにこぷん」で以前活躍していた、三味線の得意なキャラクターである。明るい性格だが泣き虫であった我がじゃじゃ丸君は急性腎不全で98年12月3日15:00頃逝去。ここ10年程のうちで最もさびしい出来事であった。<戻る

2.たぶんそばや…わたしがいいかげんなことを言っているのではない。看板にそう書いてあるのだ。「たぶんそば屋」と…<戻る

3.永谷園のお茶漬けの中のカード…言わずと知れた安藤広重の東海道五十三次のカードである。今は入ってない<戻る

4.母方のばあちゃんに似た従業員…今様膝栗毛第二回を参照<戻る

5.万瘡膏…いろいろな大きさのものを用意しておくと良い。良く使うのは普通サイズのと3cm角の正方形のと、幅8mmくらいのミニサイズ。<戻る

6.かっぱ天国…第1回参照。<戻る

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