今様膝栗毛 第17回その1(99/07/29)
亀山―三雲(1)
〜鈴鹿越 蟹が坂横這い歩き
(夏休み連続行脚その3)〜
関宿の御茶新旅館の朝。宿の飼い猫と戯れながらゆったりと朝飯をいただく。今日は天気良いなあ。いよいよ鈴鹿越えだ。足の痛みはまだあるけれど、何とかなりそうな気になっている。
さ、亀山まで戻りますか。関の駅に向かう。またあとでここを歩くので、今は写真はナシよ。
駅に着いたら、なんとまたしても電車の時間まで小一時間近くあるじゃないですか。今日は三雲まで行かねばならんのだからあまり時間をムダにはできない。一見ちんたら歩いてるように見えるかも知れないけど、何時間と言う長い歩きの工程の中にもそれなりに時間割りってものがあるのだ、ということがここまでの道中で身に染みているσ(^Ω^)であった。
ではわざわざタクシーで亀山城へ戻ろう。自己満足だとか言わないようにね。自分でもよくわかってるから(笑)。
<8:35>
タクシーの運ちゃんは気を利かせて旧街道沿いを走ってくれる。このあとまた歩くんだけどなあ…
と思う間も無く亀山城。多聞櫓を残すのみだが、昔は胡蝶城と呼ばれた名城。
亀山城多聞櫓。 |
さて街道に戻る。まずは城下にいたるとすぐの池の傍に江戸期の三代敵討ちの一つに数えられる石井兄弟の敵討の記念碑。
そして城前を迂回してすぐに京口門跡に到る。
「祝・敵討ち達成」って書いてあるわけじゃないけど この碑ができた時のご当地はいかにもそんなノリで、 展覧会やら餅投げやらで相当もりあがったらしい。 |
京口門のあと。 |
そして野村三丁目に大きな椋の木の野村一里塚。そう、ここは榎木じゃなくて椋の樹なんですね。
「なんか、昔の人が間違えたみたいよ」って近所のおばサンが塚の周りにある花に水をあげながらそう言ってました。
立派な椋の木の野村一里塚。 |
<9:30> やがて街道は国道一号線に接近する。途端に歩くのが辛くなってくる。1時間と歩いてないのにね。 それでドライブイン「あんぜん」に避難することに。せっかちネエヤの富永一朗さんはどうやら御当地の生んだ漫画家なのである。 アイス珈琲を一杯飲んで休憩。地ビールのキャラクタも富永一朗さんだ。
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休んでいるうちに、今日はゆっくり行こう、という気持ちになってきた。土山くらいまで行けりゃいいじゃないか。ってね。
再び歩き始める。だいぶ暑くなってきた。鈴鹿川橋の下を通ると、その両脇に浮世絵が描かれていた。
ところどころにこういうものがあると言うのは良い。自分が何処歩いてるのか良くわかるからね。そういう意味で静岡は街道をとても大事にしていると言えましょう。田んぼの真ん中を旧街道は通っている。旅愁あふるる素朴な橋を渡れば、さあもうすぐ関宿。
<10:10>
関(第四十七宿)に着いた。
いや、実はゆうべついてたんだけどね(笑)。
宿場に入ってすぐ、「小万の凭れ松」がある。小万とは実に女らしい名前だね(笑)。
郷愁街道。宿場の両はずれにある看板。 |
凭れ松。仇討ちの為に亀山から通いつづけて 月に雪駄二十五足履き潰したと鈴鹿馬子歌に唄われている。 |
改めて宿場を歩くと、町全体が昔の風情を保っている。ここに住んでいると時間もゆっくり過ぎるように感じるのではなかろうか。
東の追分の鳥居と灯篭。 |
<10:30> 山石という喫茶店に入ってまた休憩。珈琲のお茶受けにミックスナッツが付いている。一口飲むとかすかに甘い。リキュールが入っているかも知れない。
ゆうべはここで飲んでも良かったかなあ。 |
山石を出て少し歩くと、昨晩泊った御茶新旅館が見えた。
ゆんべはお世話になりました。 |
宿の飼い猫が玄関で見送って くれたみたい。 |
「まちなみ資料館」やら「旅篭資料館」やらあるのだけれど、ペースを考えて寄らずに先を急いだ。
おや、アレに見えるは…。
ホーロー看板だ。いいねえ(笑) |
地蔵院の手前、古ーい看板の鍛冶屋サンがあった。
今も現役らしいです。 |
そして地蔵院。一休さんがオシッコ引っ掛けてフンドシ引っ掛けて開眼供養したことで名高い関の地蔵サンですな。
歴史の道の碑と地蔵院。 |
東の追分から西の追分まで、2kmくらいあって結構長い。でもそれももう終点。街道はまたσ(^Ω^)の嫌いな国道一号線に合流するのである。 しかし、なかなか見どころの多い宿場でした。 |
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<おまけ 関宿のイラストマップ>
<脚注>
1.石井兄弟の敵討…HPの記事を作る度にこういうことを調べ直すわけですが、まあ歴史の勉強になるんでね。この事件は元禄十四(1701)源蔵・半蔵兄弟が苦節24年、父政春の敵赤堀源五右衛門を討ったもの。江戸の三大敵討ちの一つとされていて、今一つの「忠臣蔵」の1年前。さて、もう一つはなんですかねえ…<戻る>
ここは榎木じゃなくて椋の樹…NHK出版の「広重五十三次を歩く」には榎って書いてあったけど、椋です。<戻る>
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