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2009-10-23 マンモー。 [長年日記]
_ 子供の頃、まだ若い母を傷つけてしまった記憶。
自分で言うのもなんだが、割に聡明な子供だったのだと思う。だから小学校低学年の頃も、時折新聞など読んでみたりしたのだろうと思う。 ふと目に入ったのは「がん」に関わる記事だった。当時癌というのは、おそらく未来においては克服されるであろう病と思われてはいたものの、やはり罹患すればほぼ確実に死に至る病として恐れられていたし、テレビドラマなどでは悲劇的な運命のタグのように用いられていた。 癌になったらどうしよう、という気持ちはその頃の多感な男児には真摯なものだった。 しかし、その多感な男児は、自分が思っているほどに文章の読解力があった訳ではなかったようだ。新聞の記事は、乳がんの早期発見に関するものだったと記憶している。それは、たとえば胸の形が変わってきたり、しこりができたことで発見につながったという記事だったと思うのだが、その頃の私には、記事に書かれた胸の形を示す言葉である「垂れ乳」という単語がそのまま乳がんに結びついてしまったのだった。 もう母とお風呂に入っていたような年ではなかったと思うのだが、私の認識では、母の胸は垂れ乳型に属するものだった。どうしよう、母は乳がんになってしまう。
私は泣いてしまった。仮眠していた母が目を覚まして泣いている私に気付いた。そして、涙の訳を聞いた母は怒りだした、という訳だ。
マンモグラフというのがある。マンモというのは乳房のことであって、「ママ」という言葉と同じ語源であると思われる。多分ラテン語だろう。乳房を撮影するためのX線装置なのであり、ピンクリボンというこの診断を進める活動もあるらしい。
そのピンクリボンがたまたま買った飲み物に印刷されていたのでこんな古い記憶が蘇ったのだった。