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2015-05-27 [長年日記]
_ [読書]「Mの世代−ぼくらとミヤザキ君−」大塚英志、中森明夫ほか、太田出版、1989.
この事件はまだ俺が会社に入る前に起きたことだったというのが何か不思議だ。この頃確かに自分は、おたく扱いされることが差別的扱いであったというようなことは良く覚えている。改めて思うに、おたくであるということはやはり誇らしいことではなくて、そうあらざるを得ない業なのだ。業を認めてそれを吹聴することは潔いというべきなのか、やはり醜いことなのか。潔くも醜いことなのか。本書はおたくを代表するような人間たちが、おたく受難の時代にあっておたくからも逆差別されるミヤザキ君に幾分同情的な雰囲気を持ちつつ書かれており、この時代を生き延びて(というかそうでない生き方はやっぱりできなかったというべきだろう)挙句オタクがカルチャーになってしまった今を想う気持ちは複雑だ。充分に味わわれること無くいずれ捨てられなくてはならない大量の収集物にそろそろ疲れを感じてもいる。