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2017-10-14 [長年日記]
_ [読書] 『売笑三千年史』(つづき)
この本は本朝の歴史に沿うて記述されている。今読んでるのは記紀万葉の成立期、つまり奈良時代。万葉集には、真間(今の千葉・市川にある)の手児奈という女性のことが歌われている。その美貌の為に男たちが争奪戦を繰り広げたのを苦にして入水自殺したということである。著者・中山太郎がここで扱う売笑と言う言葉はいささか広義だが、そういう視点で記紀万葉を読むのも面白いことだろう。このような学問において、言葉の真意を解くことは基本的で重要で困難だ。著者・中山太郎は、解釈の困難な語彙に出くわすとすぐにアイヌ語に源を求める当時の学者の態度に意義を唱えている。この態度は好ましい物だと感じる。違和感を感じたなら納得できるまで思考を止めてはならない、ということだろう。