RSSフィード:http://alpha-ralpha.com/diary/index.rdf
2024-05-11 [長年日記]
_ [読書] 『東京都同情塔』九段理江、新潮社、2024。
NHKラジオ「マイあさ」では日曜に「著者からの手紙」とかいうコーナーで、著者にアナがインタビューするコーナーがあって愛すべき「成瀬あかり」シリーズもこのコーナーで知った。『東京都同情塔』もそんな一冊で、聞いて興味を持ったのは新刊が出て間もない頃だろう。この本に出てくる語り手の1人、牧名沙羅は言葉の監獄に囚われていて、言葉が口をついて出るためには彼女の頭の中の看守の許可をいちいちとる必要がある(と彼女は感じている)ほど。僕は言葉の監獄ではなく書物書類の監獄に囚われているので、蔵書を1冊加えるためには僕の頭の中の看守が内容と資金について厳しい監査にかける。そこで放免とならなければ図書館で、ということになるわけである。
新刊で話題になっているものは何百人もの予約待ちとなるのだが、その手の図書は僕にとっては急いで借りねばならないものではないし、他に読むべきものは山ほどあるから待ちは気にならない。GWにはそんな本の一冊だった『半導体戦争』がちょうど入手できたので400ページ以上もあるのを大体3日掛けて熊野街道伊勢路の旅の直前の未明まで一生懸命読んで、その日の朝に図書館のポストに投げ込んで旅に出た。
比べて『東京都同情塔』は100ページ余りで余白も多くあっという間に読んで先ほど返却した。本の内容の紹介も感想文もここに書く気は無いのだが、この小説は少なくとも日本では初の、ハルシネーションによる小説、と言えるかも知れなかった。もっともこの中にある、生成系AIへの問い「君は自分が文盲だと知っている?」に対する答えは変わっているだろう。Copilotの使用もずいぶん当たり前になってしまったが、シンギュラリティはまだまだ遠いとは思う。思っているうちにいつのまにかシンギュラリティを迎えるのかもしれない。という訳で今は「ともぐい」の予約待ち中。2/18に予約してあと330人待ちだ。みなさん返却期限は守りましょうね。