RSSフィード:http://alpha-ralpha.com/diary/index.rdf
2024-10-19 [長年日記]
_ 遅く起きた土曜。『ワルイコあつまれ』の慎吾ママの部屋に出てきた茶々(北川景子)の録画を視てるところなのだが、この人本物の茶々だなあなんて納得してる。火縄銃持って「ダーン!」ww 役の抜けないうちにこんな風に再利用して番組を作るというのはメソッドとしては良さそうにも思われる。
それはともかく。今まで何となく理解してた工程能力指数のことがちょっと気になってきたので、さまざまな本にどう書かれているかを調べ始めたのだった。ちなみにこの尺度は日本産であるらしい。比較的近年の和書『工程能力指数』(永田・棟近著、日本規格協会、2011)の冒頭に、Kotz & Loveraceの教科書(Arnord, 1998)にそんなことが書いてると紹介してある。これは初耳!こんな指標はいかにも合理性を追求し続けるアメリカ原産と思い込んでいたのだが。誕生は70年代のようであり、このころの日本産業界ではQCサークルと言う草の根運動が盛んであり、統計的品質管理を日本にもたらしたのは1950年のデミング先生の講演とされる。この講演は本にもなっているとのことなのだが、今日本のAmazonで「デミング」を調べると自動的に「ハミング」と変換されて洗剤ばかりが出てきてしまうのである。それはともかく。改めてデミング先生について調べなおすと、以下のことが分かった:
(1)実は日本では神様扱いされていたデミング先生は1980年代に至るまで本国アメリカでは無名であった。それが注目されるきっかけは1980年にNBCドキュメンタリー「日本にできて我々になぜできないのか?」で取り上げられたからだと言われている。僕がこの件に興味を持ったのはかれこれ10年近く前になるのだが、当時この映像を見るのは難しかったと思う。現在、Deming InstituteによってYoutubeにアップされている。76分ぐらいあるようだが時間を見つけてみることにしたい。
(2)1982年に出版されたデミング先生の本は1986年に"Out of Crysis"と改題されて出版されている。邦訳は無いと思ってこれも10年ほど前に洋書を求めていて例に漏れず"本棚の肥やし"(そんなものがあるのだろうか??)になっていたが、2022年に邦訳が出版されたようだ。そのイベントが起こった時点よりも時が過ぎて未来になればなるほど、そのイベントに関連する情報にアクセスすることは容易になる。このパラドクスはしかしながらその情報を残そうとする人々のエネルギーなしには起こりえないことなのである。
そういった有用なことばかりを見出したわけではない。きっかけとなった永田・棟近共著の本は"JSQR(日本品質管理学会)選書"と名づけられた日本規格協会の出版のシリーズである。そのキャッチフレーズが「成熟経済社会のいまこそ魅せる日本のゆるぎない質力、質魂!」である。「質力」と「質魂」には傍点が付されている。どちらもどう読むのが正解なのか良くわからない。そんな言葉はたぶん無いのだが、こんな言葉を作ってまで、かつての品質を丁寧に育てた頃の遺産を後世に伝えようとする努力には意義があると思う。しかし安易に「魂」とかいうどうとでもとらえられるような言葉を使うセンスはちょっとどうなのかな、と思えなくもない。こ・じ・ん・の・か・ん・そ・う・で・す。