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けいりう堂日記

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2020-12-20 [長年日記]

_ [漫画] 『ふつうのきもち』いがらしみきお、双葉社、2020。

2018-2020の間にウェブで配信されていたものが単行本化された。久しぶりのいがらしさんの新刊。漫画には勝負事は必須ではないし、ウェブの漫画だからと言ってバズったり炎上したりする必然性もない。いがらしさんは普通のことを描くのは難しかった、というようなことをおっしゃる。普通の生活にだって語るべきことは実はたくさんあって、でもそれは、得体の知れないものに対する不安や恐怖や怒りをそのまま感情的にぶつけて伝搬させて終わりとするようなやり方で描かれるのでは無い。日常的にすり抜けていくささめき事柄や、あまりにも当然のことと一般に信じられているため省みられることが稀有なことなどへの違和感が、この漫画では多く題材に取られている。それらはただ切り取って無責任に陳列されている訳では無く、作者はそれらそれぞれが本来解かれるべき問題であるように頭で考えたことを描いているようだ。かと言って作者は自らの観察の鋭さを誇る訳でも無いし、その気づきへの共感を訴えかけている訳でもなさそうだ。こう書くとこの漫画がまるで何も描いていない様に感じられるかもしれないが、それは現代溢れかえるコンテンツの多くが、この漫画とは逆の方向を指向するものでそれが現在マジョリティである、ということに過ぎないのだろう。いがらしさんの新刊を読むたびに、80年代の終わり頃に描かれた『BUGがでる』(に所蔵の『わびさびさびわび』)で始められたこのような表現からの連続性を想う。この漫画が語りかけることと、現代の不安な状況下で脊髄だけを通って出たかのように反射的に交わされるヒステリックなお喋りはまるで違うのだ。後者は不安を伝搬させるだけじゃなく時に飛沫を拡散させたりもするから余計に厄介だ。
 という訳で、次こそゆうきさんの『まだまだはてしない物語』を読む。同時代に(13年間だからいがらしさんの描いていた期間よりだいぶ長いが)描かれたもう一つの「ふつうのきもち」と言う読み方は可能だろう。

_ 夕ヨーガの後。「あっぱれ!KANAGAWA大放送」録画見つつうだうだ。デビさん、「3月以降長い旅に出ようかなと」とか言ってる。ふうむ。さようかお行きなされ。でも「あっぱれ」は続いてね。デビさんの後は誰がやるんだろ。赤間アナ一人ではカオス過ぎる。


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