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けいりう堂日記

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2006-05-04 [長年日記]

_ [読書] 『ヨコハマメリー』見られず。

前売りを買っていたので『ヨコハマメリー』を見に伊勢佐木町へ出かける。19:00の回にまだ時間があったので良くいくインド料理屋のモハンでゴールデンイーグルとパパドとタンドリーチキンとサグラム(ほうれん草とラムのカレー)とナンで食事する。奥州ウォーキングの疲れが残っているせいかいらだっていたのだがこれで上機嫌となり映画館に出かける。すると、19:00の回はもう満席であると言われた。この回、5/6までずっとトークショーが開かれていて立ち見が出てるんだそうだ。またいらついた。少なくともトークショーの時間は避けた方がいいな、と思う。メリーさんは何度か本人を見たことがあった。どうせなら一度くらいは彼女の客になってみても良かったのかもしれないな、などとふと思ったが、映画の公開で同じ事を思っている者は結構居るかもしれないのだった。

代償行為が悪い方向に働いた。映画館の近くのときどき覗く古本屋に足を運んで、理系の本を4冊ほど買ってしまった。

『カルダーノ自伝』海鳴社、1980。1000円。

カルダーノの名前は、三次方程式の解の公式にその名を残している。Wikipediaで調べると4次のそれはフェラリの公式、5次以上のものにも解の公式に相当するものはあるが、四則演算とべき乗計算という代数的方法では解けない、ということだったらしい。誤解していた。そういえば二次方程式のそれは誰が最初に導いたんだろうか。

『河川工学』高橋裕、東大出版会、1990、1500円。

中山道で奈良井川・木曽川、身延道で富士川、千国街道で姫川、京街道で淀川、奥州街道で白石川・阿武隈川・名取川などに沿って歩いて、橋とかダムとか堤防とかを数々目にしてきたので、興味があった。作る側の考え方を知れば今後のウォーキングは楽しくなるに違いない。

『ピルトダウン』スペンサー、みすず書房1996、4200円。

藤村新一さんの事件も面白かったし、村松友視さんの『永仁の壷』も面白かった。最近も学術論文の捏造事件が話題になった。捏造には妖しい魅力が…。マイク・オールドフィールドのチューブラーベルズ(エクソシストのテーマに使われたプログレ)のPart2にはピルトダウン人の声が入っている。私には「そぼぶわっ だっほ のぶわぉ らばぶわぁ だっほろう」と言っているように聞こえる。ついでに、子供の頃ドキュメンタリーと称して幻の日本原人と言うTV番組をやっていて、日本原人が「ワライパ ゲマソ ミソニアリ」と言っていた、と、放送翌日の教室が盛り上がっていたのを思い出した。

『内臓が生み出す心』西原克成、NHKブックス、2002。480円。

心は脳ではない、という説のあることはどこかで聞いたことがあった。この本を少し読んでみると、著者の研究分野はヒドロキシアパタイトを使った人口骨やら口腔の研究がもともとの専門のようだが、その後研究の方向はさかあがって(とり・みき『愛のさかあがり』でいうところのさかあがり)しまっているように見える。引用される事例や文献の取り方やその容認・否認のあり方には公平さを欠いているように見えて仕方無い。一般向けの解説書であればなおさらこの点については慎重であるべきだと思うのだが、この調子で学位論文を書いたのかと思うと、ちょっと。学位取得後「上司に恵まれずにそれからの三十年間は一度も昇進することなく停年を迎えました」とかいう愚痴も一体誰に読んで欲しくて書いてるのかわからない。イライラする。こういった従来の知見をくつがえすようなテーマを人に受け入れさせようとするのなら、いろいろ神経を使わなくちゃいけないところがあると思うんだが、オレを信じろと言わんばかりの文脈にはかなり抵抗を感じる。が、買ってしまったからには仕方無い。トンデモ本の一種だと思って読んでみるかと。


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