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けいりう堂日記

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2008-12-24 暮れともなるといろんなことが起こる。 [長年日記]

_ まずは自分にとって一番重要な事件。

早帰りして久しぶりに横浜市立図書館に寄り、統計関係の本を仕込んできた。そのあと行きつけの飲み屋に行こうと思ったら、なんと無くなっちゃってた!!

これは白楽の『前略』という飲み屋。神大のOBのドジョウ髭の人がやっていた。珍しい日本酒が飲めるから良く行ってたんだがな。これからは白楽と言うともう『世界長』くらいしかないじゃないですか。

横浜に越してきて以来無くなってしまった行きつけの飲み屋を列挙してみようか。もう知る人には知るところとなっているから隠さないけど、俺の住まいの最寄り駅は菊名だ。だから界隈に住んでる人には懐かしい名前もあるかもしれない。お世話になった人のお目に留まれば、まあお目こぼしを。

まずはランバー・ジャックなるスナック。しかしまあこれはある時を境にして寄り付かなくなってしまったから行きつけと言ってしまうのにはちょっと語弊がある。会社入りたてのころに良く行ってて、カナディアンクラブ飲みまくってた。

次は綱島駅前20秒のところにあった『ひょうたん』。いつおとづれても雑煮とドジョウのから揚げが食えるので大好きな居酒屋だった。思いで深い。しばらく無沙汰してある日行くとイタリア人顔のたぶん生粋の日本人の板さんが「会えて良かったよ」なんて言うんだ。聞くとオーナーの意向で近々閉めちゃうという。店員は系列のお弁当屋さんで働いてもらうということだったが、そんなことするために腕を磨いたんじゃないという自負があるから複雑な気持ちだ、というようなことを言ってた。もう来られなくなるからという記念に会社の仲間を連れて初めて店の名物のすっぽん鍋を食べに行った。すっぽんの甲羅を記念に持ち帰った同僚も今は違う会社にいるんだっけ。弟がアメリカ留学に発つ前の日にさんざん飲ませたのもこの店だったのでいろいろ思い出深い。

次は菊名西口の『どんたく』。九州出身のおかあさんがやってたおでん屋。この店ではなぜかおごってもらう機会が多かった。おかあさんにちょっとした漬物とか煮物とかを出してもらったりしたのも多かったけど、地元では名のある人がいきなり焼酎のボトルをいれてくれたり、一度連れてきた同僚が忘年会の二次会で入れたボトルの残りをおれの名前でキープしてくれたり…。最初のころいたバイトのあみちゃん、かわいかったよなあ。その後四国でスッチーをやってると聞いたがそれももう五年ほど前になる。

それから菊名西口にあった『つぼ八』。まあ普通につぼ八なんだけど、この店の窓からは大きな桜の古木が見えるので、まだうすら寒い桜の季節には行ったもんだった。

あと、菊名駅前改札でて15秒くらいの『菊繁』。これは本業は蕎麦屋だと思うんだが、この蕎麦がまた妙に長くて得した気分にはちょっとなるものの、蕎麦を取る時は席を立ちたくなってしまうほどだった。定食のバラエティも多かったしつまみになる料理も多かったのでよく利用してた。地下一階に座敷がいくつかあったので、一階が満席のときはそこに通された。それが結構楽しみでもあった。お座敷で一人で蕎麦屋のつまみを肴にしてポラーノ書林-この本屋も髭の店主のセレクションが妙で、国書刊行会のアレイスター・クロウリーの本とか並んでて立ち読みばかりしてましたっけ。お店は今も健在だけど相当規模が小さくなっちゃった-で買った文庫本なんか読みながらブランドがあるのかないのかわからないような燗酒飲んでました。燗で思い出したけど、一時期ここに勤めてたなかなかグラマラスな(酔眼にはそう映ったがもしかしたら鳩胸というだけだったかもしれない)お姉さんは「燗」=「とっくり」と思ってたみたいで、「お銚子2合、冷で」と注文すると店の奥に「お銚子2合、ヒヤカンで」と声を掛けて、その度に他のお店の人に注意されてた。それで今度行った時には「お銚子2合、ヒヤカンで」と注文してやろうと思っていたのだがその機会は来なかったように思う。

そんなわけで、理想の飲み屋は絶滅の危機に瀕している。その意味するものは俺の行くような店が無くなっていく、という意味にはとどまらない。

日本酒が楽しめて、適度にほっておかれて(ということは適度にかまってくれるという意味でもある)、つまみがバラエティに富んでいて、しかも高くつかない、そういう店のことだ。お座敷が適当にあいてたりして、そこに腰をおろしてだらだらと居座っていても追加の注文をせかされたりせず、でもこっちも良いのんべだと思われたくて適当に注文をしつつほんとの酒肴は文庫本だったりする。そんな店だ。いつも探してる。飛露喜が飲めたらもう言うことなしだ。そんなわけで一番その理想に近いのは福島サンルートホテル1Fの箸屋惣介なのだが、通うにはあまりにも遠すぎる。

_ 飯島愛が死んでしまったらしい。

死因とかよくわかんないみたいだが。なんかなじみの女性が亡くなってしまったような寂寥感を感じる。ギルガメッシュナイトは学生の頃。AVが出始めのその頃はビデオデッキなんか持ってなかったので、ちゃんとAV作品を見たのは会社に入ってしばらくしてからだった。普通に話してるときはちょっとトーンの低い声が濡れ場では高い声になるギャップが可愛いな、と思っていた。その後普通にタレント活動をしているのがすごいと思ったり腑に落ちなかったりそういうものかもと思ったり、、、ちょっと気になる人ではあった。年代的には美保純とか東てる美(あー古いさ古いさ)とか、それに最近ではゴーオンジャーでケガレシア(いやこの名前はすごいよな。過去がケガレシアってことかも)をやってる及川奈央とかの在り方とつい比較してしまう。もちろん一番好きなのは及川奈央です。AV作品の時からケガレシアみたいなコスプレやってたんだよね。一番笑えるのはアトムのエネルギー吸収シーンを実写でやるあたりでしたけど。ああ、無駄に語ってしまってるな。飯島愛からずいぶん離れてしまった。ご冥福をお祈りします。

_ [郷土史][交通史][下田街道] 『天城山往来雑記』佐藤陸郎。

酔った勢いでアマゾンで注文しちゃってたらしい。2日ほど前に届いた。タイトルが示す通りで天城越えを中心とした下田街道に関する本なわけです。

http://kodou.lolipop.jp/index.html

というHPには私が良く迷う(いや、正確には迷ったのは一回だけだ)天城峠周辺の探索のことが書かれているのですが、ここにこの本が紹介されていたので、つねづね欲しいと思っていたのでした。

で、今日『前略』がなくなってたので『世界長』というこれも日本酒の揃えの多く魚骨のから揚げせんべいがおいしい(いや、他にもうまいつまみはいっぱいあるんですけどこれは好きなんです)お店で飲みつつぱらぱら読んでたわけです。著者はいわゆる郷土史家の人のようで、意図的かどうか本のとあるページに刊行を紹介する地方紙の記事の切り抜きが挟んであるのを見ると、これは自費出版だということ。良い装丁だ。記事には初版は300部作ったと書いてある。奥付をみるとこれも初版なので、その300部の自費出版の1冊を今私は手にしているということだ。自らの歩きに根ざす自信がうかがえる。考証も堂々たるものなのではないだろうか。歴史を考証する本は、考証のもとになる文献の一部を多く引用するのが常なのだが、この中には『伊豆の踊り子』や『しろばんば』の一部なども引用されていて、非常に親しみやすい。良い本です。「道道(みちどうと読んで道を究める道という意味。勝手に作った言葉だが、きっとすでに誰かが同じことを言ってることだろう)」を究めんとするからには一生に一冊、このような本を上梓できたら幸せだろうな、と思う。それは"サラリーマンなんとか紀行"みたいな自費出版本(実はこの手の本は結構ある。読むと結構面白いが、それを集め始めるとみうらじゅん並みの境地に至る覚悟がいる)とは一線を画したものでありたい。

_ そんなわけで郷土史家の底力をこの本でも感じてしまった。一方でもっと大きなスケールで時代をぶった切るような歴史家もいる。飯島愛の訃報にちなんで例えるならば、繊細なヒダのひとつひとつを丹念に舐め分けることで初めてわかる愛もあれば、強靭な一閃で深奥を穿つことで感じる愛もある、という感じだろうか。

_ あんまりうまいこと言えてないですね。ごめんなさい。おやすみなさい。


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