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2019-05-10 [長年日記]
_ はー。やっと週末。10連休明けのせいか、存外疲れた週だった。圓生「鰍沢」聴きながら通勤。この話は初代三遊亭圓朝が「卵酒、鉄砲、毒消しの護符」の三題噺で作ったものと伝わり、東海道岩渕から富士川に沿うて日蓮宗本山である身延・久遠寺に向かう途中の鰍沢での旅人の災難を描く。そこでマクラには日蓮聖人の逸話、そして身延道・富士川の水運にも触れられている。こう言う話が、江戸期という近世交通史に関する生き生きとした一種の証言のようなことになっていることがおもしろい。別の話になるが、吉原の風習や色男の服装などに触れている辺りにも、今や資料的価値と呼んで良いような情報が含まれていると感じる。古い日本の情報の記憶装置としての芸の道ということには興味がある。室町の頃の庶民が使っていた言葉は狂言の中で今も生きている、というのが好例だ。昭和の歴史も多くの研究と資料によって通説が見直されているらしい。歴史的な視点で圓生百席を味わうというのは良いのでは無いかと思う。話の後の芸談で、登場人物の一人であるお熊と言う元・花魁の話ぶりをぞんざいにやるのを流行らせたのは同時期に活躍していた志ん生だが、中店の花魁がそんな話ぶりをするのは間違っている、上に立つものが間違ったことをすると下の者が真似するからいけない、と志ん生批判が出るのもおもしろい。