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2021-12-05 [長年日記]
_ おはようございます。朝起きて、つい今しがた水野英子さんの『ファイヤー!』読了したところ。凄かった。創美社版の最終巻には『川のむこうの家』という、川向こうの娼館の女性に恋する男の子の話が載っており、こちらも凄かった。そういう朝8:00過ぎ。今しも、「音楽の泉」でモーツァルト『すみれ』が掛かっている。ゲーテの詩である。ゲーテはスミレになって少女に摘まれたかった。なのに、少女に踏まれてしまう。そして「踏まれる方が幸せ!」って言ってる。そんな感じの歌だとつい思ってしまうのは、この詩が沼正三『禁じられた青春』に引用されているせいである。昭和初期に誕生したこのヘンタイさんはあらゆる芸術的なものや芸術的でないものから変態性欲を慰めるものを見出そうとしていたのだ。そのためには語学でも何でも徹底的に学ぶのである。この人を知るにつけ、自分はとても変態を名乗ることなどできない、と心底思う。でも女の子から「変態」って呼ばれると、多分ちょっと嬉しいと思う。
_ こんばんわ。夕方まで雨樋の掃除やら洗濯の続き(まだ終わんねーし)やら字の練習やらやって、6000歩あまり歩いて銭湯へ。ここ、実は食堂なんぞを備えてるので、今日初めて利用してみた。カツ煮に豚キムチ、瓶ビール、追加で黒霧島ロックなんぞを畳の上でいただく。最高かよw これは絶対に久住昌之さんの好きなヤツだよ。通い続けてたらそのうち絶対遭遇するヤツだ。さらに横浜銭湯カレンダーなんぞも売ってたので併せてゲット。何なのこの幸福感は。俺もうすぐ死んじゃうんじゃないかしら。
_ で、まあその銭湯の食堂でも一杯機嫌で読んでたんだが、沼正三『禁じられた青春』堪らなく面白い。これは最底辺から書き上げられた昭和史だ。きっと、昭和天皇実録と併せて読むとさらに面白いだろう。ちなみに全巻持ってたりするんだが完結した途端にあれこれと訂正が入ったっけ。昭和を生きたということは歴史的なエポックに存在していたということで、それ自体がもう稀有なことだと感じる。なにしろ「昭和の男」だよ?現在から数えて元号二つ前だよ?自分の感覚だと明治生まれの人みたいな感じだよ?岩波文庫で「幕末百話」読みながら、「ああ、そんなこともあったよなあ」とか言ってる人だよ、自分。