RSSフィード:http://alpha-ralpha.com/diary/index.rdf
2014-05-09 [長年日記]
_ 調子良からず、読みかけの本を読み続ける。
_ [読書] 「ヒグマ 増補改訂版」、門崎允昭・犬飼哲夫、北海道新聞社、2000.
たぶん天城峠でフォーストビバークをしたころにカモシカスポーツ辺りで買ったんだと思う。伊豆には熊はいないが、この先熊の生息圏をこわごわウォーキングせねばならないこともあるだろうと思って読み始めた。結局出会ってしまって襲い掛かられたならば、ナタでも包丁でも奮って彼に痛みを与えないと生存率は上がらない、ということのようだ。実は奥羽山脈のあたりを歩かねばならない時にはただでさえ重たい荷物の中に、ナタを忍ばせていたりする。この本にはイオマンテ(アイヌの熊祭り)の詳細な記述があり、そちらも貴重と思う。このようにして獲物を送る儀式と言うのは自然の幸に対する感謝ばかりではなく、同じ生物の命をわがものとすることへの敬虔な想いもあることであり、養殖肉を機械的に屠る食肉システムとはまるで異なることだ。食への感謝の感覚はそれによって大きく変わってしまったのだと思う。もはや、ニワトリやウサギを絞めて客に供するの哀れを記憶するものも少ないことだろう。