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2011-04-29 「カマートショーゼン、カマートショーゼン、カマートショーゼン…」−スティーブ・ライヒ『カム・アウト』− [長年日記]
_ 家にいる6匹の、おつむ3歳児相当のうち5匹は血のつながったキジトラである。長く暮らしているうちに彼らの特徴の違いがわかってくるのだが、それでもこの5匹が寒い日にかたまって寝ているのを見るのは面白い。こちらに気づいて一斉に顔をこちらに向ける様は、まるでキャンベルスープの缶をたくさん並べたウォーホールの作品を想起させる。良く見るとちょっとづつ違っているところがさらに手の込んだ作品のようにさえ見える。我が家にはうごめくミニマルアートがいるのである。おそ松くんのご両親は相当大変な思いをして六つ子を育てたことだろう。
_ [音楽] スティーブ・ライヒ『シティ・ライフ』
だいぶ前に買ったDVDを今日やっと視聴した。この作品は9・11以前の爆破テロ事件をモチーフの一つに使用しているが、9・11の前後でこの曲の持つ意味合いが変わってしまった(前島秀国の解説)。5楽章の構成はA−B−C−B−Aのアーチ形式(そうだ、アーチ形式だ)であり、『砂漠の音楽』など初期のライヒの作品にはなじみ深い形式。話し声をサンプリングしてライブ演奏のときにタイミングを合わせて”演奏”する。ライヒの作品の演奏には大変な技巧と練習が要るように思える。二人が向かい合わせで同じリズムパターンを手拍子で合奏する『クラッピング・ミュージック』の演奏シーンは最近Youtubeで見たのだが、誰にでも練習次第でできるはずなのになかなかできるものではないように見える。二人のうちの一方は正確にリズムを繰り返し続け、他方はリズムをひとつづつずらしていく。ずれたリズムパタンがうねりを起こし(←比喩的な意味では無い)複雑なパタンを自動生成するのは単純なジェネレータが複雑な図形を作りだすフラクタルの世界に通じるものがある。ミニマル・ミュージックの神髄と呼べるものだろう。
ライヒの解説に(ライヒのCDにはライヒ自身の比較的平易な英語で書かれた曲の解説が付いていることが多い)、楽器以外の沢山の音源を詰め込んだサンプラーは、プリペアド・ピアノの発想の延長上にある、と書かれている。プリペアド・ピアノってそういうことだったんだなー。そういう理解のもとに、ジョン・ケージやライヒの『ザ・ケイブ』などをさらに視聴していこうと思う。
_ 今日は比較的涼しい日だった。庭のムクロジがぐんぐん伸びている。巨木になる予感。さすがは市指定の銘木の種から育った木だ。少し困っている。
_ ロイヤルウェディングの中継をちら見しつつ「あっぱれ!KANAGAWA大行進」の放映を待ってしまっている自分がいた。明日だよ、放送日。
_ 「おつむ3歳児」ってちょっと「お肌30代」に似てない?そうでもないか。
_ タイトルの「カマートショーゼン」は、ライヒの「カム・アウト」というテープ・ミュージックで使われている"come out to show them"がこう聞こえる、ということで。