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2012-06-03 [長年日記]
_ 面接授業二日目。昨日の計算結果を持って行って発表。ちょっとしたおやじギャグを交えたら榑沼先生を含むクラスの少なくとも1/4からは笑いを取ることができたように思えたので大変満足だったが、そのときの自分のドヤ顔が想像されてしばらく落ち着かなかった。その後、以前見て震撼したオンカロの最終処分場の話や武満徹の音楽や、果てはももくろZなど、先端の思想的の問題に取り組んで毎日頭の中が四角いジャングル状態(というようにみえるともみえないとも知れないのだったが)の学者が、対象を読み解くためにありとあらゆる表現に切り込んでいく姿は、カオティックというよりはいっそすがすがしいものだった。自分の表現も、ひとえに数式やグラフのようなものにとらわれる必要はないのかもしれない。
レポート提出が二週間後。私はルクレティウスと、その思想の源流にある敬愛するエピクロス、そしてそれらの思想を受け取って興奮気味の寺田寅彦、といったものたちを時間の許す限り自分なりに読み解いていきたいと思う。今回の講義を通じて、寺田物理学という先進的すぎて異端視された方法論は、実のところ風土的な意味で日本で無くては生まれえなかったものと捉える事が出来たのが収穫だった。そして、ではなぜ寺田寅彦一人だけなのだろうか、という疑問がわいてきている。たぶんそれは不見識というものなのだ。物理の世界なら寺田一人だけかもしれないが、他の分野にもこの複雑で多様なパッチワークでできた不思議の国・日本をそれに適したアプローチで読み解こうとした人物がきっと何人もいるのだ。そう思えば私の今の心境は、私淑すべき心の師の多きことに思いいたって武者ぶるいする遅れた新入生の志なのである。