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2015-11-12 [長年日記]
_ 生まれてはじめてザクロ買って食べた。食べ方わからなかったのでとりあえず縦に切ってみたら、Oh, my Godness!まるで殺戮現場だ。血潮滴るだ。アメリカの歌だ。食べてみた。酸っぱくてうまい。種を取り巻くように果汁の詰まった袋(種衣と言う)があり、トウモロコシの実のように果皮の内側にくっついてるのをはがして種ごと食べる。プシュっと種皮が破れて真っ赤な酸っぱい果汁がブシュウと流れ出てしとど味蕾を犯していると同時に種がコリッコリッと歯触り良く砕け(←ちょっと小泉武夫先生の文章を意識してみました)、独特な初めての食感は何かいけないものを味わっているような背徳感を引き起こす。この罪の味を古代ギリシアの人々は、地母神デメテルの娘ペルセポネが冥界で味わったものと同じと考えた。ペルセポネは冥王ハデスにそそのかされて冥界でザクロの実の中にあった12の種のうちいくつかを食べた。日本の神話と同様に(このことはいつも俺を驚かせる)、冥界での食事、すなわちヨモツヘグイを行えば現世に還ることは叶わない。しかしすべてを食したわけではないしそもそもハデスの奸計である(ペルセポネが冥界に来たのももとはと言えばハデスのキッドナップが原因である)、ということで特例が認められ、ペルセポネは一年のうちある期間だけ冥界でハデスの妻として過ごすこととなる。その間地上は母のデメテルの悲嘆に満たされて恵みをなさないようになった。それが冬である。冬の成因がザクロであること、ザクロが血潮を想起させること、ペルセポネが冥界の花嫁であること。これらは無関係ではないだろう。