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2015-11-18 [長年日記]
_ [漫画] 「パンダのパ」河あきら、ジュールコミックス、2015.
著者がくも膜下出血で入院・リハビリを体験したことがモチーフとなっているようだ。最終話の主人公はまさに作者自身をモデルとしているのだろう。「パンダのパ」は食事の前に嚥下を好適に行えるようにする発声である。病気を克服して漫画が描けるようになったことはファンとして嬉しい。病み上がりを示しているかのように、河さんの作品の味わいどころであるキャラクター同士の絶妙な掛け合いがあまり見られなかったのは少しさびしかった。
_ [物理学] 慣性の法則(ランダウの力学)
空間が等方的で均一であるならば、ラグランジュの方程式に並進対称性を仮定することによって、ラグランジアンの速度ベクトル(の各成分)による偏微分は時間に依存しないことになる。ラグランジアン自体が等方性の仮定によって、質点がどこに向かっているかには関係なく、ただその速さ、つまり速度ベクトルの絶対値だけに依存することになる。速度ベクトルの絶対値を速度ベクトルの各成分で偏微分するとそれは必ず各成分に依存する形になる。\[\frac{\partial |\boldsymbol{v}|}{\partial v_x} = \frac{v_x}{|\boldsymbol{v}|}\]などとなり、速度ベクトルの大きさ$|\boldsymbol{v}|$を変数に含む関数を各速度成分で偏微分した結果は、必ず成分$v_x$に依存するのである。ラグランジアンの速度ベクトルによる偏微分もまたそうであり、それが時間に依存しないためには、各速度成分自身が時間に依存しないことが必要である。つまり、止まっていたものは止まり続け、動いていたものは等速度で動き続ける。これが慣性の法則である。つまり慣性の法則は、ラグランジアンが等方的であり並進対称であるような世界で起こることである。こことかこことか見ながら計算して、ようやくこんな感じの事だということを納得し始めている。だが、この時点でランダウの教科書は、ラグランジアンがどのように構成されるかと言うことをまだ示していない。それが示されるのが次のセクションと言うことになる。来週それを学ぶことができたら、一度ここに帰ってこようと思う。おそらくこの議論が、ネーターの定理につながっていくのだろう。これも有用そうだ。