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2007-09-17 恥ずかしい野宿者。 [長年日記]
_ [下田街道] 河津七滝。
サバイバルシートは実に優れものだった。一方の面が金色・他方が銀色に蒸着された薄い樹脂のシートで、銀は光熱を反射して金は吸収する。金色の側を表にして頭まですっぽりかぶると雨にもかかわらず体温がずっと維持できた。が、ろくな食べ物が無く、味噌汁を川の水に溶かして飲む。川の水は澄んでおり、これは救いだった。さらにレギュラーコーヒーのパックを破り、水を入れた空のペットボトルに入れて振って放置する。
雨と川の音にうとうとしては目覚め、ラジオに耳を澄まし…こんなことを繰り返しているうちに待ちわびた夜明けが来た。明るくなってみると川の流れもさほど激しいものではなかった。そして、道の続きはこの川の向こうに続いていることを発見した。夕べのうちに暗がりをうかつに進んでいたらどうなっていたかわからない。気力を奮い立たせようと、昨日仕込んでおいたコーヒーを飲む。十分コーヒーの味だった。 道を進むうち明るさは増していく。が、雨は続いている。そうしているうちに宗太郎林道を過ぎ、河津川のいくつものみどころを眺めつつ歩くことができた。猿田淵の急流と、河津七滝。最後の大滝の辺りで携帯電話のバッテリーが切れた。二台持っていったデジカメは昨日のうちにどちらも起動しなくなっている。完全に画像を記録する媒体を失ってしまったので、ここで旅を終えた。バスで河津駅に出て踊り子号で帰宅。横浜駅近辺で川端康成「伊豆の踊り子」を収録した岩波文庫を購入。
なんだか野宿もあまり苦にならないという感じだった。しかし野宿せねばならなかったのは計画が甘かったということだし、体はすこぶる汗臭くなった。野宿が平気になってしまうということは、とても下品なことのように思えてなんだかとても恥ずかしかった。誰が見ていたというわけでもないのに。
まあこんなこともあるさ。そしてたぶん今後も場合によっては…。ああ、わたしは恥ずかしい野宿者だ。