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2013-06-09 [長年日記]
_ [特撮] 「仮面ライダー」
少年をひき逃げしてなんとも思わない冷血な男を許さんとばかりに追いかける一文字隼人。正義感に駆られて、いかに悪人とはいえ生身の人間を痛めつける一文字はヒーローとしては冷静さを欠いており、危うく見える。一方、その男の冷血さにほれ込んだ死神博士はこの男をハエ男に改造する。手術を見つめる死神博士は無表情である。ここに天本英世の怪優ぶりがあらわれているように見える。ハエ男の造形は、意識しようがしまいが有名な「ハエ男の恐怖」のそれに似てしまわざるを得ないし、多くのSF漫画を物していた石森章太郎(当時)にも当然強く意識されていたはずである。ちなみに映画「ハエ男の恐怖」の公開は1958年である。リメイクにあたる「ザ・フライ」の公開は1986年、プロデューサ―は続編「ザ・フライ二世誕生」と共に俺の大好きなメル・ブルックスである。原作者はイギリス人なのだが、ジョルジュ・ランジュランと言うフランス風な名であり、生誕地はパリ、原作「蠅」は第二次大戦後にパリでフランス語で書かれたSFである。ウィキペディアによると「蠅(La Mouche)」の収録された"Nouvelles de l'Anti-Monde (反世界小説集、とでもいうべきだろうか)"の出版は1962年とあり映画製作と前後関係が合わないから、この作品集が初出ということではないようだ。当時、ネビル・シュート「渚にて」が発表されてまたほどなく俺の好きなグレゴリー・ペック主演で映画化もされている。SF作品はこのころ黄金期を迎えていたのであった。