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けいりう堂日記

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2016-07-18 [長年日記]

_ 日付変わりッツひと箱あれば。来週から放送大学は試験期間に入る。案の定だけど番組の視聴がまだ半分近く残っている。3連休なのはありがたい。ラテン語がチンプンカンプンだ。試験受けるの来期にしちゃおうかななんてちょっと弱気になったりして。まあ諦めるのは直前でいい。それまではあきらめないことにしよう。いつものことだ。あきらめるときが来たらすっぱりとあきらめられるように、今はあきらめない。プレミアムシアターで男がパンツ一丁で歌歌ってテーブルの上でセックスしようとしている。NHK-BSはもはやNHKじゃないな。ヘンデルの「アグリッピーナ」、舞台を現代に置き換えるとこうなるのか。本来の演出も視て比較しなきゃいけないってことなのか?そんな暇あるのだろうか、この先の人生においても。しばらく消えてたがまた出てきたパンツ男。動きによっては穿いてないように見えるときがあるから安心できない。
 休みになると途端に新聞を読まなくなるのは問題だ。朝食食べたらまず新聞読むかな。でもなんか時間が勿体無い気がするんだよな、家で新聞読んでると。手を動かしてやるべきことがたくさんあるせいだと思う。録画の整理とか洗濯とかアイロンがけとか。そうだ、このあいだヤフオクで1000円で古いナショナルのスチームアイロンを入手した。ずっしりと重たくて滑りが悪いのだが、少し厚手のチノパンなんかがピチッとかかるので気持ちいい。昔のアイロンってこうだったなあ。かけにくいなあ、なんて思いながらかける。アイロンがけは結構好きな仕事だ。もっともうもうと湯気があがればいいのに。
 「アグリッピナ」ってなんか聞き覚えあると思ったら、ちょっと前の時間に聞いてた「攻略!英語リスニング」の題材に出てきたんだった。ネロ帝の母。


_ 夜中3時ころ目覚めてトイレに立ち、なんとなくラジオをつけて寝た。ラジオ深夜便の3時台はいつも少し古い日本の曲を流している。夢うつつで聞いていたそれは岡林信康であり、「山野ブルース」が流れているときに私は夢の中でその岡林信康さんが、どこか木造の民家が散在している北国の片田舎で歌っているのを見た。雪の降り積もるに任せてヒゲ面が真っ白だった。私がフォークソングと出会った頃は拓郎も陽水ももうすっかり人気者で、岡林さんはすでに「フォークの神様」と呼ばれていた。あの頃、ボブ・ディランが神格化されていたように、日本のフォークシンガーの中にもそういうカリスマを見出そうという指向性のようなものがあったように思う。その指向が向いた先が岡林さんだったり斎藤哲夫さんだったりしたのだろう。実際、夜のトランジスタ・ラジオから流れてくる「グッドタイムミュージック」や「悩み多き者よ」は静かな説得力を持って耳に届いてきた。その頃の北海道で育った私には被差別部落問題の存在など全く知ることもなかったから、FMで聞いた岡林さんの「手紙」は、ドラマにありがちないわば”薄められた悲劇”の一つにすぎないと漠然と感じていただけで、単純に良い歌だと思って覚え、時には何の邪気も無く周りを気にすることも無く口ずさんでいたことさえあったかもしれない。そのような問題の存在を知らされたのは大学に入って本州から来た人々との交流があってからのことで、よりはっきりと意識したのは入社時の導入教育で篠田三郎と日色ともゑの出ていた「故郷の空」という映画を見たときだった。カムイ伝を読んだのも入社して間もない頃と思うので、この分野に対する私の意識は今に至るまでいささか低いままであると思う。「故郷の空」は「遠い落日」「ハチ公物語」などの神山征二郎監督の手になる1988年の作品で、企画は東京都と都の教育委員会とのこと。DVDなどは作られていないらしく、これを観ようと思うと、たとえばどこかの教育委員会に申請してさらに16mm映写機を調達する必要があるように思われる。小学校の頃に学校の教材として見た映画なんかそんなの多いだろうな、と思って、一つ覚えている作品を探してみた。「ボクは五才」というのがそれで、1970年の作品だ。15年くらい前にテレビで放映していたような記憶もあるがあてにはならない。これは父親を訪ねて高知から大阪まで、自分の記憶と以前一度訪ねたときに自ら描いたスケッチブックを頼りに(!)無銭旅行するというものだ。驚くべきことにこの作品は今年の8月に角川からDVDが出る。なぜ?私のような懐古趣味のユーザーを狙っているのか。見たいな。左卜全とかミヤコ蝶々とか出てくる。うわ、すげえ見たくなってきた。
 結局眠りの浅いまま6時台に床を離れる。NHKラジオの番組は「まいあさラジオ」に替わっている。いつもは5時台を聞くか聞かないかで出勤となるのだが、この時間に聞いてみると新鮮だったりもする。この番組はリスナーからの投稿を受け付けているのだが、早朝聞いていると、淋しい(と自覚している)リスナーが個人的な悲しみを、抑え気味の文体で、しかし切々と訴えてくるものがたびたびあってハッとする。投稿は必ずしも独居の老人からとは限らず、たとえば10代のリスナーが「今日空手の昇段の試験なのでプレッシャーあるけど応援の言葉があれば頑張れそう」なんていう投稿や、「柿が実をつけたが一本の木に100個もなっててどうしたらいい?」のような相談が寄せられる。そしてそれに対して別のリスナーが、少し遅い時間帯にまた投稿をするのだ。これもまた無縁社会にあっての新しい絆を考えるヒントになるのではないかと思う。深く分析してないがSNSやネットの投稿とは違う機能を持っているのだろう。公共の電波を私的な問題で占有している、という厳しい見方もありうるが、番組で取り上げられるということは内容の是非に関わらずそれが一つの意見として認められたという満足感につながる、ということもあるだろう。そしてネット上で見られるコミュニティと大きく違うのは、そこに参加する人々の年齢・性別・職業・居住地域という属性のきわめて多様であることだ。特に多様な年齢層が同じ意見に対してそれぞれの感想を持つきっかけになってその応答がある程度リアルタイムであるということはこの種の番組の大きな特徴となっている。ただこれも昨今の情報通信技術の進展に依存することで、それ以前は別のリスナーからの反応は次回の放送まで待つ他なかった。投稿に対しては共感を表わすことも無視することも反対を述べることも自由だ。不適切な表現は番組スタッフによっておそらくは注意深く除かれているという保障の仕組みも備わっている。またネットからの投稿が可能なので投稿に対するバリアは(ハガキ職人をやることに比べれば格段に)低い。一度に取り上げられる数は必然的に少ないが、このようなつながりは絶えることが無いのではないか。


_ [音楽] BWV1020(偽作)。

先日、J.S.バッハの作品ではどうやらなさそうと判明したバッハのソナタ。フルートソナタとして演奏されることが多いようなのだが、比較的新しい記憶として、バイオリンの演奏を覚えていた。どうやらその記憶は捏造されたものでなく、少なくとも一時期、もしかすると現在も、アルテュール・グルミオーの演奏になるCDを持っていた、あるいは持っている。ただ、現存していたとしてもわが魔窟の奥深くに眠っているようなので、DECCAの安いCDを改めて求めたらいつの間にか郵便受けに入ってた。早速聞いてみると確かに聞き覚えがある。同梱のライナーノートにはこの作品が偽作であるという疑いを示す言葉は何一つないが、帯には「真作かどうか疑問視されている…」と書かれている。おそらく真の作者についての研究は今も途上にあるのだろう。たとえば10年後、このCDがまだ増版されていたなら、その時の帯には何が書かれているのかには少し興味がある。もちろん、作品の良し悪しと真作か偽作かということとには今は関係が無く、この曲が好きだ。フルートの技法を用いてこそ真価が発揮できるような書き方をされているとのことだが、グリュミオーの演奏を聴いている限り、その説の真偽こそまずは吟味されるべきではないかとも思えてくる。


_ [新聞を読んで] 日経・私見卓見

もうすぐお昼。今日の横浜は曇りがちで蒸し暑いようだ。録画の整理しながら新聞読んでる。やっと経済教室のページまで来たが、最近このページには「私見卓見」という記事が書かれていて、「投稿や寄稿を通じて読者の参考になる意見を紹介」とある。たまにはいいこと書いてあるなあと思う記事もあるが、大抵は「私見」に偏りすぎていて「卓見」と見えるものがあまりに少ない。ただのつぶやきなのか、私見だが是非聞いてほしいことがあるというのか、誰に向かってどんな意図で書かれているのかが読み取れない。これを含めて「経済教室」というページを構成するのは適切なのだろうか?確かに小学校の教室なら、理に合わないことを声高にわめいて学級を崩壊させるような意見もあり得るだろうが、このページがそんな教室で会って良いはずはない。新聞代は高いのだ。少し前に「領空侵犯」とかそんな名前で専門外のことについての意見を紹介するという趣旨の記事が載っていたこともあった。それも自分にはあまり肯定的に感じられなかったが、そのうち終わってしまった。私見は別の欄でやってほしい。たとえば日曜版の素人川柳なんかの載ってるページと同列で十分なのではないか。


_ 部屋が冷えない。ラテン語の講義さらに1つ受講してから祝日特別メニューのヨガに行き、帰宅してさらに2つ受講。あと2コマで一応全講義を聞いたという事実だけはできることになる。が、ちょっと覚えることがありすぎて大変だ。どうしようかな…。眠い目こすりつつ机に向かっててアイスコーヒーを盛大にこぼした。幸いキーボードは被災しなかったがマウスが濡れてちょっと怪しい動きをしてる。寝るかな。暑いわ。


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