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2016-10-15 [長年日記]
_ ディランの受賞に対するアービン・ウェルシュのコメント:「私はディランのファンだが、これは、もうろくしてわめくヒッピーらの悪臭を放つ前立腺がひねり出した検討不足で懐古趣味な賞だ」
この評価自体が正当かどうかはともかく、「悪臭を放つ前立腺がひねり出した検討不足で懐古趣味な」という表現がハートに突き刺さった。ちょっと使ってみたいけど使う機会は来ない方が幸福と言うものだ。
_ [テレビ] 「逃げるは恥だが役に立つ」
ショートバージョンの再放送が始まって見てるとこ。みくりちゃんの頭の中には事あるごとに「情熱大陸」のテーマが鳴り響く。星野源は良いよな。自称「静かなる変態」。こないだ「掟上今日子の備忘録」見てた時、及川光博がサムアップしたのに対してサムアップを返す今日子さんの仕草に心の臓をわしづかみにされたのだ。そんな仕草が今回のドラマでもたくさん見ることができるのを期待している。
今見終わったとこ。噂通りの良いエンディングだった。振り付けはPerfumeの振付をしてるMIKIKOさんと言う人のそれ。そう言われると確かにそんな感じ。次週も楽しみな感じ。
_ [特撮] 「ウルトラQ」1966.円谷プロ。
もちろん見たことはある訳だが、見始めた。季節の所為なのだろうか、まだ鼻がぐすぐすする風邪の所為だろうか、鼻の為に飲んでいる小青龍湯の所為なのだろうか、ともかく何をしようと言う気力が湧かない。こういう時は普通不安を感じたりして気分障害を起こしていることが多いのに、なぜか気分がそう悪いという訳でもない。楽しいのでもないが、テレビや動画を見ているとつまらないものに感情失禁して声を出して笑ったり涙ぐんだりしている。まあそれ以外は静かに暮らしているのだが…。これはこれで精神上の問題が生じている状態ではないかと思う。たぶんこれまでにもあったのだろうが、この状態のことを特に重く見てはいなかったのかもしれない。ともかく、あまり生産的なことをしたいと思えず、料理もしたいと感じず、食欲も少し減退しているようだ。それでさしあたりスモークチーズなんかを摘みながらコーヒーを飲んで映像ばかり眺めているのだが、その一つがこの「ウルトラQ」なわけ。若い桜井浩子が溌剌としている。彼女の美しさはウルトラマンで頂点に達するように思われるが、このウルトラQの頃は彼女は丁度20歳。
「第1話 ゴメスを倒せ!」記念すべき第1回。ゴメスとリトラのことは古文書に書かれたりする。リトラはゴメスが弱点とするシトロネラアシッドを吐く怪鳥である。可愛そうだなと思ったのは、卵からかえってすぐに戦わざるを得なかったこと。ゴメスも目が大きくてちょっとかわいげのある顔だ。これはある意味ゴジラのパクリのような怪獣だが、設定上はなんと哺乳類。ゴジラは海中爬虫類から陸上獣類に進化する過程上の生物との設定(Wikipedia)なので、まあ遠からず。しかしこうなるとゴジラ以降のゴジラに類した怪獣はすべてこの設定に当てはまることになりはしないだろうか?
「第二話 五郎とゴロー」口のきけない青年五郎と、アオバクルミという旧陸軍の開発した増強剤の過剰摂取で巨大化した猿・ゴローの友情の話。舞台は伊豆・天城地方である。同じく巨大化した猿はやはり旧日本軍が占領していたらしいイーリアン島という島にも存在していたらしく、日本のゴローは睡眠薬の入ったミルク缶のミルクを飲みほして眠らされたのち、この島に送還されることとなった。知らずにそのミルク缶をゴローに渡した五郎青年の叫びが悲痛。
「第三話 宇宙からの贈り物」ナメゴン登場。このストーリーをたどれば火星には火星人がいたという設定、ということになる。私は今この作品をモノクロ版で見ている(2011年にカラー版が作られている)が、ぬらぬらと光る皮膚の質感が素晴らしい。子供のころに見たままの感動が蘇った。つづく。
_ [テレビ] 「土曜ドラマ 夏目漱石の妻」(最終回)
第1回は見逃している。wikipediaなども併せて見ていてはじめて気づかされた。夏目鏡子さんの本名は「鏡」と一文字書いてキヨと読ませるとのこと。「坊ちゃん」の家の下女は清と書くがキヨと読む。これが漱石の(もう一人の、と言うべきだろうか。他方は大塚楠緒子と考えると)理想の女性である、と解いたこのドラマの解決はなかなか愉快だった。「愉快」なんて、ちょっと古臭い言葉わざと使ってみた。
_ [特撮] 「ウルトラQ」
「第四話 マンモス・フラワー」星川航空はセスナとヘリを持つ小さな航空会社で、そのパイロット万城目淳は今回、新聞社に空から撒くビラを取りに来たところ、マンモスフラワーの生長に伴う地震のことを知る。万城目は、由利ちゃんと当人の言うところに依れば単なるパイロットではなく、現実世界に少しばかり飽きがきており、下手なSFを書いたり宇宙旅行にあこがれているという、実は少々エキセントリックな人物だった。こういう人だからこそ次々と不思議な出来事に巻き込まれるのだろう。よりうがった見方をするなら、Qの世界は全てこの男の妄想の世界、と言っても良いのかもしれないのだ。それにしてもこの回のオープニングはなんだろう。ひび割れた地面がただ上下を繰り返すだけの、とりわけ恐ろしいのではないのだが違和感と嫌な予感を強烈に醸し出す映像。Qのオープニングにはわりとそういうのが多い。子供のころはそれをみていてじれったく感じたのを記憶している。さて、ひび割れに続いてお堀にぷかぷかと浮いている根っこ、そしてついに人を襲いだす根っこ。マンモスフラワーはどんどん増殖する。特撮的にはちょっと地味で、役者はこの根っこに自ら巻きついていくという「特撮に依らない特撮」に加担しているのである。一の谷博士の白ひげは見事である。演じるのは江川宇礼雄、本名は江川ウレオあるいはウィリー・メラーという日独ハーフ、とのこと。おお知らなかった。そして和洋折衷式の新聞社のビルを壊して芽吹き、ついに花開くマンモスフラワー。それを不安げに見つめる人々。そうだ、怪獣登場が番組の中で定常化する以前は、登場するまでにドラマがあったのだ。日常の風景の中に突如現れる異形。特撮放映が常態化する以前の、今や懐かしいシーンと言えよう。そしてその異形をより脅威と思わせることがある。この世界にはウルトラヒーローも仮面ライダーもスーパー戦隊も存在していないのである。毒花粉をまき散らすマンモスフラワー。それに対抗するのは人間の知恵であり行動である。万城目淳は空中の二酸化炭素を固定するための薬剤(何だろう?)を散布する役を買って出る。ヒーロー以前の時代に、ヒロイックな行動をしつつも怪獣の活躍においては狂言回しにとどまる、この秀逸な役割の設定を思いついたスタッフには脱帽する他無い。そして、前記のような人物設定を思い出せば、万城目淳は、ドラマ「Sherlock」に登場するワトソン先生と同様、自ら進んで危険に足を踏み入れずにはいられない異常性格者であると解釈できるのだ。