RSSフィード:http://alpha-ralpha.com/diary/index.rdf
2021-05-23 [長年日記]
_ [読書] 『閉ざされた夏』若竹七海、講談社、1993、1998(文庫版)。
という訳で夜中に読了。2005年に一度読んでいたらしいのだが、最後まで全く覚えていなかった。誰が犯人なのかも。犯行動機は結構印象的なものだったのに、かくも記憶に残っていないとは。2005年に読んだ時には、日本酒を飲みながら読んでいてとうとう750ccが一瓶空いた、と日記に書いてあったから、恐らくその時は面白く読んだのに違いない。或いは作者の才能に嫉妬して記憶を封印した、ということも考えられる。その時の読書の動機は、学芸員の仕事に興味があって、ということだった。この作品は確かに学芸員たちの仕事ぶりが多く描かれているのだが、彼らの勤める博物館(文学記念館)というのはちょっと複雑な成立をしており、当時の自分の興味にその点で応えるものではなかったことも、内容を記憶していない理由の一つかと思う。そんな訳で、一冊のミステリが二度楽しめたことは喜ばしい…とは言いにくい。1度目を楽しんだ記憶自体が存在しないためである。嫌な記憶とかもこんな風に綺麗さっぱり消えてしまったらどんなに良いだろうか。残念ながら、記憶に残る嫌な経験をするときは素面であることが多いから、それを同じように綺麗さっぱり忘れ去ることなどできないだろう。
_ 『コリン・ウィルソン音楽を語る』には共感できるところが少なくて実は読み渋っている。一方で死生学の参考文献は共感できるところが多くはあるが、そればかり読んでいると流石に気が重くなってくる。それで、読み掛けの楠木新さんの『定年後』を読み出す。このタイトルにある状況もそんなに遠いことではなくなっている。本書を知ったのはNHK R1の早朝の番組で、出版年は2017。最後の章が「死から逆算してみる」というサブタイトルで、まだ読んでないがやはり死生学からは切り離されていなかったと言う出オチ感もありながら、面白く読み進んではいる。高齢者同士の話し合いの場では、「生活感」という共通の部分を持っているために女性同士では話し合いが円滑に進むが男性同士は意見がぶつかることが多い、とか、男性はリタイア後も管理職であった頃のように振る舞ってしまい外での付き合いがうまくいかないとか。私にはあまり関係ないかもしれないな、と思いつつ面白く読んでいる。今も昔もほぼ管理職ではないし、会社内に限らず人付き合いは無いと言っていいくらい無いから。これが状態なのだから孤舟をかこつようなことにはならないのでは無いか。。。いや、健康を害してしまった場合はそうは行くまい。