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けいりう堂日記

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2005-08-28 『永仁の壷』 /『あしがらの道』 [長年日記]

_ [読書] 『永仁の壷』(読了)

朝方まで読んであと2章を残して眠ると、気がかりな夢を見た。目覚めると8:30。久し振りにエウレカセブンもヒビキも見逃した日曜の朝。朝食を整えて続きを読みながら食べる。全体を貫いている真偽の問題はついに銭湯の壁の絵にまで…。

小説には終わりがあり、良い書き手の使命として、そこで読者に解決を与えなくてはならない。作者はこう思う、これは作者の想像に過ぎないが、という前置きつきで多少の強引さをもって結論を導く必要があるのは止むを得ないことかも知れず、それはもう小説という形式そのものといえるのかも知れない。その結論に、どれだけ読者の共感を集めることができるか。致命的な考証のミスは無いか。事実の及ばない部分に自由な想像や自分の考えが十分に盛り込まれているか。そして事実と虚構との間に齟齬は無いか。わざとらしくないか。−少なくとも事実をモチーフにした小説はそのようにして書かれるもののように思える。もちろん、文章にしたいと言う強い思いが前提にあってのことだろう。

というわけでこの本を図書館に返して新しい本を借りに行く。

_ [読書] 『あしがらの道』

先日南足柄市の教育部で教えていただいた『あしがらの道』という本を求めて神奈川県立図書館へ出かけた。これは新書版の本で、そこいらの古書店を探せばありそうな気もして、図書館から伊勢佐木町に歩いていった。途中藤棚などという地名に出会い、不意をつかれたような気分になる。ちょっと遠回りして伊勢佐木町の古書店を幾つか廻るも目的の書は無し。久し振りに喫茶店「ぽえむ」に。フレンチとモンブラン。モンブランは微妙。地元近くの飲み屋で6000円余り飲む。久々に飲んだくれの日曜の夜だ。

ところで足柄道。矢倉沢往還とも呼ぶこの道は大山道とも呼ばれた道で、赤坂から渋谷道玄坂を通り二子玉川から伊勢原・秦野など通って足柄に到る。伊勢原・秦野というのは私のウォーキング歴の結構初期の道であって、大山に登ったあとに鶴巻温泉まで降りていって日帰り入浴するのが楽しい、という記憶に包まれたところ。だから矢倉沢往還を歩く旅は、そのような楽しい記憶を辿る旅ということになるのだ。『更級日記』にあらわれた足柄の遊女の跡は辿るべくもないだろうが。ちなみにこの本の題字は児玉幸多先生の筆であった。


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