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2011-02-21 「HOHAHA」−NMR技術者の笑い声− [長年日記]
_ [新聞を読んで] 日経。
科学技術面。通常の医療用の2倍弱の静磁場を作ることのできる超電導磁石が、財団法人鉄道総合技術研究所で開発された。リニアモーターカーの技術に関係しているようだ。学生時代にちょっと知識をかじっただけだが、部屋の一角を占領するような大きな装置だった。新しく開発された磁石は、液体ヘリウムで無く液体窒素で冷却すれば良いというのが画期的。ポータブルMRIができる可能性が出てきた。強い磁場という方向を推し進めていくと、空間分解能のさらに高いものも作れるのではなかっただろうか。MRIは非破壊検査で化学構造に関する情報を得られるという優れた面を持っているが、他の物理分析、たとえばSIMSとかRBSとかXPSとか赤外といった方法に比べると感度は低い方で、試料がたぶんmg単位は必要だったと思う。空間分布を調べるには、空間ごとに核磁気共鳴の共鳴条件をちょこちょこずらしてやる方法がとられるが、20年ほど前の知識ではせいぜい空間分解能は1ミクロン程度で、ナノサイエンスにはあまり力を発揮することができなかった。磁石がこんなに進歩するなんて、馬蹄型磁石で砂鉄を集めて「陰毛じゃ陰毛じゃ」とふざけてた子供の頃には思いもよらなかったよなあ。
同、やさしい経済学。今日で4回目だが経済物理学から見た景気変動。ユール・スルツキー効果というのがあり、ランダムな時系列データも移動平均操作によって周期性があらわれる、ということが「本当に」あるらしい。こういうのがキチンの波などの原因と目されているということで、ぶっ魂消ている。良い参考書は無いの?筆者家富洋さんの著作は「経済物理学」を持ってるが、少なくとも索引を見る限りはこの辺の記述が無いように見えている。
_ 同、社会面。なんと光化学スモッグが花粉症を悪化させていることが東大・マックスプランク研究所の研究で明らかに、とある。花粉表面に活性酸素ができたり、活性酸素がNOxを花粉タンパク質に結びつけたり、ということ。花粉症は現代人の体質が変わったせいで顕在化したんだと思い込んでたが、立派な公害だったということか。
_ 「新聞を読んで」を書くのも久し振りなのだが、これを日記に書く意義は、スクラップブックの廃止である。しかし記載が進まないので、部屋の中にはちぎった新聞紙が散らかっている。記事を読みながら手で打ち込むなんて技術的にプアすぎる。しかし、新聞紙をちぎるのに比べてスキャナで取り込んで電子化することは、個人の行為としては手間がかかりすぎる。こういうところに発明のチャンスがあると思うんだが、あまり良い手が思いつかない。