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2016-05-06 [長年日記]
_ GW札幌最終日。だいぶ曇ってる。昨夕は随分とウミネコが鳴いていた。ウミネコが海辺を離れて市街地に棲むようになったのはどういうことなのか。
滞在中はいつものことだが、また少々カロリー多めの食事となってしまった。今回は、街のあちこちにまだ転がっている学生時代の想い出の残滓に多く触れることとなり、当時ほぼ毎日感じていた飢餓感のようなものが蘇ったのかもしれない。私にとってはここはそういう記憶の街であるのだが、今に暮らす人々にとってはまさに変貌し続ける(そしてそうあるべきと信じられている)街でもある。そのことはこれまでに多く歩んできた旧街道を歩く旅で感じ続けた感傷と同様であるのだが、それと決定的に違うことがある。この街に、記憶の保存装置としての金石や建築、そして生活と濃密に絡んで発達した道特有の曲線(地形の上に住民の生活によって刻まれた音溝!)といったものはさほど多くはない。それらは保存する意図がなければ30年もすれば消えてしまうだろうし、その前に、旧式のデータフォーマットや記録媒体のようにデコードすることがまずできなくなる。再生できなくなった記録媒体が保管のコストを削減するために処分されることは生者必滅の習いに似る。史跡が史跡となるためには、それを惜しむ人の想いが必要なのだが、旅人はその地の変貌をただ受容するのみ…ああ、けれども思い出した。旅人にもまた記憶装置の一部、言わば冗長回路のような役割が分担されていたではないか。それはこんな風に拙くはあっても紀行を綴るということだ。かくして夜は明け、街中に暮らすウミネコは再び鳴いたのである。
_ 残念。
父の人の引き出しから富士通のFDアダプターせっかく見つけたけどドライバがなかった。電池買ったのに。早まった。
_ そういうわけで、物だらけの自宅に帰宅。
届いていたもの:
後者は上下巻共に1968年の第五刷なのだが、思いのほか状態が良い。もちろん函は背中が黄ばんだりしてはいる。ぱらぱらとめくってみると、減衰振動や強制振動を二階の微分方程式であらわして解くという学生時代に演習でやったあたりにはじまって光学の回折現象なんかまで書いてある。ラグランジアンもハミルトニアンも当然のように現れる。改めて見るに、すごく良い本だ!なぜこの本をずっと欲しいと思っていなかったのだろう。我ながらすごく不思議。たぶん理論物理と言うものに対して崇高で近づきがたいものを感じていたから、そこに手を出そうとしていることを人に知られたくないとかそういうつまらなく不自由な抑制がかかっていたんだろう、心理的に。まるで中世の暗黒時代にでも生きる人の様に不自由な心を持っているのだな、私は。
そうだ、購入価格のことを書いておかないと。当然古本で購入したのだが、1968年当時各巻700円だったこれらの本は、今回送料込みで1700円程度で購入できた。おおむね出版当時と同じ値段でこの良書を入手できたのは幸運なことだったと思う。